Concealed the Conclusion/Story/Prologue

幻想郷にも長く厳しかった冬を終え、春が訪れようと
していた・・・が、今年の春は余りに消極的過ぎた。
五月を過ぎ、雪はとうに止んでいたのだが残った雪を
追い払うほどの春がやってこないのだ。既に桜も花を
咲かせ始めてはいたものの、あまりにまばらすぎる。

──春が、どこか悲しんでいた。



   東方夢終劇 ~ Concealed the Conclusion 



幻想郷のはずれ、魔法の森の奥深くにある怪しい小屋で
自称普通の魔法少女、霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)は
いつものように新しい符の製作に打ち込んでいた。今回
作っているものは戦闘用ではなく、花見の季節になった
時のための一発芸として開発したもののようだが、まだ
ひとひねりたりないとつぶやいてはアイデアを出そうと
腕を組んで小屋の中をぐるぐる回っていた。そのうちに
まぁまだ春はもう少し先だし別に焦らなくてもと諦めた
魔理沙は、年中無休で頭が春満開の巫女でもからかいに
行こうと博麗神社に向かった。

だが彼女の見たものは、神社の境内に咲く1本の桜。
・・・やばい、花見に乗り遅れたかと慌てて向かった
先にはさらに奇怪な光景が広がっていた。



──誰もいない。

桜が余りに弱々しい咲き方だからか?否、幻想郷の妖怪
共は「今年の春はなんか元気が無いわね」などと愚痴を
漏らしつつも、何気に花見を楽しんでいるものである。

同じ幻想郷の住民として、彼女等のことはよくわかって
いるつもりだ。だとしたら、これは一体・・・魔理沙が
後ろを振り返ると、神社の境内はいつ頃から放置されて
いたのか雪解けに混じって枯葉や枯れ枝が散乱し、荒れ
果てていた。

まさかと思い神社の中を覗いて見るとそこはもぬけの殻
だった。縁側を歩くとそこだけ埃が消えて足跡が残る。
暫くの間掃除すらしてなかったのだろう。まさか霊夢が
そんな長い間神社を空けるなんて・・・そして魔理沙の
良からぬ直感は次の瞬間確信に変わった。

神棚に放置されたまま埃を被っていた陰陽玉・・・もし
霊夢が今回の異変を解決しに向かっているのなら、この
光景は絶対にありえない。

霊夢が陰陽玉を持っていかない理由はない。



──思えば異変はこれだけではなかった。

ある日、段々と周囲の妖怪共の態度が豹変してきている
ことに気が付いていた。アリスが、パチュリーが・・・
みんな次第によそよそしくなってきてそのうち酷い時は
突き放すような態度・行動を取ったりすることもあった。
そんなさなかきびすを返す時かすかに見えた涙・・・
魔理沙は何かあるなと悟ってはいたが、その時はどうせ
1ヶ月もすればツンとそっぽ向いたまま差し入れでも
突きつけてくるだろうと思っていた。

こうも異変だらけだともしかしたら共通の元凶があるの
かもしれない。なんと言ってもいつもいるはずの霊夢が
そこにいないと知った瞬間から、脳裏にはただ事で無い
不安がよぎっていた。その不安を無理やり払いつつ、
魔理沙は仕方なしに単身原因を調べに神社を飛び出す。
・・・霊夢に渡すための陰陽玉を両腕の中に抱えて。



──幻想郷の、とっても悲しい物語が、今始まる。

The following is a "Quick & Dirty Summary" by Opt:

At the end of a particularly harsh winter, spring has come, but it is not a very powerful spring. Although snow has stopped falling by May, it has not melted, and although the sakura have begun to blossom, they have not done so to a great extent.

We find Marisa at her lair cooking up some new magic, but not something for fighting with: This is magic for enjoying the flower viewing. She realizes that something is up when she arrives at Reimu's shrine, expecting to be late for the viewing, and only one tree has blossomed.

And nobody is there.

Why are the sakura blossoming so sickly? The youkai of Gensoukyou say that this year's spring doesn't seem very energetic. Looking at the shrine, Marisa gets a bad feeling and investigates. Inside is completely opened up, and her bad feeling grows. There's no way that Reimu would leave it opened up like this for so long unattended.

This is taken as a sign that something has happened.

Come to think of it, the youkai have been acting strangely too. Even Alice and Patchouli have seemed unusually down.

Out of all of this, Marisa is most concerned by Reimu's apparent disappearance, and flies off to investigate.

-- a very sad story of Gensoukyou now begins.