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Sengoku Gensokyo/Translation/Part 1: Difference between revisions
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「その様を御覧になって、神様は満足なさる。<br>そして | 「その様を御覧になって、神様は満足なさる。<br>そして | ||
神様に、秋の収穫と豊作を祈るのよ」</td> | 神様に、秋の収穫と豊作を祈るのよ」</td> | ||
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"And when the gods see my work, they will be satisfied.<br>Then, I pray to the gods for good harvests" </td> | |||
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Revision as of 01:36, 9 July 2019
*001
プロローグをスキップしますか? はい / いいえ |
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*skip_no2
博麗神社。 | Hakurei Shrine | |
人里離れ、立ち並ぶ木々の合間に建立するその神社は、 幻想郷を一望できるその景観と、四季に応じて色を変える風光明媚な様で、 神社を訪れる主に人間以外の者の目を楽しませている。 |
The secluded shrine is placed in the middle of many trees. In Gensokyo, there is the wonderful landscape and scenic views which change by season. This is pleasing to the people who visit the shrine, which are mainly non-humans. | |
というのも、 神社と人里の間を結ぶ獣道が人を遠ざけているばかりか、 当の神社もさながら妖怪の溜まり場になっているという噂のせいで、 普通の人間はとても近寄れない状態になっているのだった。 |
Even so, perhaps due to the infested roads connecting the human village and the shrine or the saying that the shrine is a gathering ground for youkais, it has become a place difficult for ordinary humans to approach. |
|
そんな訳で、 神社を訪れる人間といったら、総じて妖怪以上に一癖も二癖もあるような厄介な連中であり、 そんな厄介者を相手にする神社の主はさぞかし大変だろう…… |
Thus, humans who go to the shrines are mostly troublesome people who have one or two relations with youkais. The owner of the shrine dealing with those troublesome ones has to always be busy. |
|
なんて事は全く無く、 寧ろそれ以上に三癖くらいありそうな主のおかげで、今日も神社はわりと何事も無くのどかに平和を謳歌しているのであった。 |
Which is not the case, thanks to the owner who has about three more relations, the shrine has spent an uneventful day, singing songs of peace. | |
今日も神社を預かる博麗の巫女『博麗 霊夢』は、 暢気にお気楽な日々を、楽しんでいるのでした。 おわり |
Today, the Hakurei Shrine Maiden "Reimu Hakurei" is taking care of the shrine and living and enjoying the carefree days.
The End. |
|
Reimu Hakurei | 「終わらないわよ」 | It's not the end. |
……博麗神社。 周囲を取り囲むように並ぶ若木達が、 その瑞々しい緑色の羽を懸命に伸ばし天の恵みを存分に享受するその下で、 博麗の姓を持つ巫女もまた、竹箒を片手に自然の残滓を堪能していた。 |
...The Hakurei Shrine. Under the young trees encircling the shrine, spreading its lush green wings like there is no tomorrow by the blessings of the skies, there was a shrine maiden named Hakurei. Holding a bamboo broom in one hand, she was taking care of nature's leftovers. |
|
Reimu Hakurei |
「ン~ン~~~ンン~~♪ |
"hm~hm~~hmm~~♪ Ho boy, just thinking about the real challenge makes me tired" |
掃き集めた落葉を前に、軽くため息をつく。 緑の丘は今でこそなだらかな丘陵だが、月が二巡りもすれば、丘は険しい高山となって彼女の前に立ちはだかるからだ。 本番…… 落葉の季節もそう遠くはない。 |
Standing in front of the leaves she gathered, she lets out a small sigh. The mountain of green leaves she gathered is still a small hill, though, if two months were to pass, the hill will become a tall mountain which she would need to face against. The real challenge... The season for fallen leaves is not very far ahead. |
|
Reimu Hakurei |
「気温が熱いと落葉は少なく、気温が下がると落葉は 増える。世の中上手く出来てるわね」 |
"The hotter the temperature, the fewer the leaves, and when the temperature gets colder, the leaves increase. What a nicely made world" |
??? | 「質量保存の法則ってやつだな」 | "That's the one called the law of conservation of mass" |
霊夢の周囲に影が差し、雲一つ無い晴天から聴きなれた声が降りてきた。 | A shadow figure, together with the familiar voice, appeared nearby Reimu under the cloudless sky. | |
Reimu Hakurei | 「何よそれ」 | "Never heard of that" |
??? | 「お前が流す汗の量に変わりは無いって事さ」 | "In other words, the amount you sweat does not change" |
影はそのまま霊夢の前方に移動し、軽やかな音を立てて境内へと足を下ろした。 黒を基調とした衣装の魔法使い…… 霧雨魔理沙だった。大きな箒を片手に、不敵な笑みを浮かべている。 |
The shadow moved towards Reimu, entering the property, making small footsteps. The magician dressed in a black theme... Grinning, holding a large broom in one hand, was Marisa Kirisame. |
|
彼女のトレードマークである空飛ぶ箒に跨って、彼女は宙を舞う。 別に箒が無くても飛べるはずなのだが、『魔法使いは箒で空を飛ぶもの』という彼女の美学の為、結果として箒が無いと空を飛べない。 |
Riding her trademark broom, she dances around in the air. Though she should be able to fly without a broom, following her art style that "Magicians fly with a broom", she is unable to fly without a broom. |
|
Reimu Hakurei | 「あら、私の流す汗は尊くてありがたいものよ?」 | "Really? I cherish every drop of my sweat" |
Marisa Kirisame | 「ほう、それは興味深い話だな」 | "Hmm, that sounds like a interesting topic" |
Reimu Hakurei |
「どうして私が毎日落ち葉掃きをしてるか分かる? 集めた落葉は捧げ物、 流れる汗は甘露の見立」 |
"Do you know why I sweep the leaves everyday? I sweep everyday as an offering to the gods, the leaves I swept is an offering, the sweat is the dew of accomplishment" |
Reimu Hakurei |
「その様を御覧になって、神様は満足なさる。 |
"And when the gods see my work, they will be satisfied. Then, I pray to the gods for good harvests" |
Marisa Kirisame |
「へぇ、そいつは知らなかった。 驚いたぜ」 |
|
Reimu Hakurei | 「そう? 私もびっくりしてるわ」 | |
Marisa Kirisame | 「どうして」 | |
Reimu Hakurei | 「たった今の思いつきをあっさり信じてもらった事」 | |
Marisa Kirisame | 「……死後は安泰だな」 | |
苦笑いを浮かべて、軽く肩を竦める。 とはいっても別に不満があるとかそういう訳ではなく、当意即妙の会話を楽しむのが主目的なので、会話の中身そのものは別に何でもよかった。 |
||
Reimu Hakurei | 「で、今日は何の用?」 | |
Marisa Kirisame | 「聞かなきゃ分からないか?」 | |
Reimu Hakurei |
「挨拶の定型句よ。 毎日暇そうでいいわねえ」 |
|
Marisa Kirisame |
「暇とは失礼な、これでも忙しい身空なんだ。 |
|
Reimu Hakurei |
「何だかひつまぶしが食べたくなったわ。 |
|
Marisa Kirisame |
「暇を食うとは高尚だな。 |
|
Reimu Hakurei | 「さあ」 | |
彼女らにとって暇などという時間は存在せず、暇を楽しんでいる限り暇ではない。 だが、日常を楽しんだ後は非日常を懐かしむのが人の常、時には大騒動を起こしてみたくなる事もある。 |
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……そして力のある者ほど、そんな幻想郷騒がせな事をしたがるから始末が悪い。 今回の騒動も、そんな妖怪の思い付きから全てが始まった――――― |
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??? | 「その願い、叶えてしんぜよう~」 | |
Marisa Kirisame | 「ん、なんだ?」 | |
魔理沙の背後、拝殿の辺りから声がする。 しかし振り返っても誰もいない、それでも声だけは響いてきた。 |
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??? |
「私は博麗神社の神様である~。 |
|
Marisa Kirisame | 「何か随分俗っぽい神様だな」 | |
Reimu Hakurei | 「……はぁ」 | |
霊夢は小さく一つため息をつくと、懐から一本の針を取り出して構えた。 妖怪退治に使われる、退魔用の針だ。 そして本坪鈴の辺り、何も無い宙に向かって投げつけた。 |
||
??? | 「いった~~~~~い!」 | |
何やら鈍い音と共に針が空中に突き刺さり、悲鳴が境内に響き渡る。 そして若干の間断の後、空間に亀裂が走り一つの物影が隙間から現れた。 |
||
……境界を操る強大な力を持つ妖怪、八雲紫である。 | ||
Yukari Yakumo |
「随分乱暴ねえ…… |
|
しかめっ面を浮かべて、お尻の辺りに刺さった針を抜く。 服の上から突き刺さっていた筈だが、針を抜いた痕に穴は無かった。 |
||
Reimu Hakurei | 「いつからうちの神社の主神になったのよ」 | |
Yukari Yakumo |
「あら、私はおはようからお休みまで貴方を見つめ続 けてるわよ」 |
|
Reimu Hakurei |
「気持ち悪い事言わないでよ。 |
|
Yukari Yakumo |
「子分じゃなくて式よ~。 |
|
Marisa Kirisame | 「ああ、確かに困ってるな」 | |
Yukari Yakumo | 「そうでしょ~、そこで持ってきましたのはこちら」 | |
Reimu Hakurei | 「押し売りなら間に合ってるわ」 | |
Yukari Yakumo |
「まあまあ、最後までお聞きなさい。 |
|
Marisa Kirisame | 「いや別に」 | |
Yukari Yakumo |
「そうでしょそうでしょ~、 |
|
Marisa Kirisame | 「うるさいな、その内勝ってやるよ」 | |
Yukari Yakumo |
「そんな貴方に新しい提案! |
|
満面の笑みを浮かべながら、周りそっちのけで喋り続ける紫。 しかし、この妖怪の笑顔には必ず裏がある事を知っている二人は、胡散臭そうな顔で紫を見ている。 |
||
Reimu Hakurei |
「何よ、人が折角考案したルールに不満でもあるって いうの?」 |
|
Yukari Yakumo |
「不満なんかないわよ、 |
|
Yukari Yakumo |
「どんなに美味しい食べ物だって、毎日毎食ずっと食 べ続けたらどうなるか……」 |
|
Marisa Kirisame | 「そうだな、お味噌は毎日違う方が嬉しいな」 | |
Reimu Hakurei |
「食べさせてもらってるくせに、勝手な事言ってくれ るわね」 |
|
Yukari Yakumo |
「そこで私が考えたのが、スペルカードとはまた違う 新ルール!言うなれば団体戦用の決闘法ね」 |
|
余程自信があるのか何なのか、胸を張って言い切る紫。 止めるべきかとも思ったが、新ルールとやらに関心もあったので、黙って続きを聞く事にする。 |
||
Reimu Hakurei |
「団体戦って、先鋒次鋒とか決めて勝ち抜きでもする の?」 |
|
Yukari Yakumo |
「いえいえまさか、それじゃあスペルカードルールと
変わらないでしょ。 |
|
確かに紫の言う通り、スペルカードルールは一対一の決闘に特化したルールであり、 一対一で戦う事をよしとする妖怪たちの気風も関係して、 複数人数については考慮されていない。 |
||
紫の考えた新ルールとは、およそこんな感じだった。 |
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等々…… 要するに、物凄く規模の大きな陣取り合戦という認識で問題の無さそうなルールだった。 一通り聞き終わって、浮かんだ疑問を矢継ぎ早に紫にぶつける。 |
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Reimu Hakurei | 「代表って何よ?」 | |
Yukari Yakumo |
「読んで字の如く、各集団のリーダーね。 |
|
Marisa Kirisame |
「誰でも参加出来るって、その辺フラフラしてる妖精 とかでもいいのかよ」 |
|
Yukari Yakumo |
「ちゃんと戦えて、誰かが統率出来るなら別に構わな
いわ。 |
|
Reimu Hakurei | 「支配地域って、例えば私だとこの神社とか?」 | |
Yukari Yakumo |
「そうね、大体幻想郷を地域分けした地図を用意した から、後で確認するといいわ」 |
|
既に地図まで用意してある所といい、とてもやる気満々のようだ。 というか有無を言わさずやるつもりらしい。 ……しかし、一つ大きな問題があった。 |
||
Reimu Hakurei |
「なんか幻想郷中を巻き込む腹積もりのようだけど、
関係無い人とか興味無い妖怪とかも居るでしょ。 |
|
当然の疑問であるが、その問いにも紫は考えを巡らせる素振りも見せず、ますます自信ありげな笑みを浮かべるのだった。 | ||
Yukari Yakumo |
「勿論、反発する者もいるでしょうね。 |
|
Yukari Yakumo |
「最後まで勝ち残った勢力は、何でも好きな望みを叶
えられる。 |
|
Marisa Kirisame |
「ほほお…… そいつは興味深いな」 |
|
紫の言葉に魔理沙が早速食いついた。 魔理沙の事だから、頭の中であれこれ自分の望みをシミュレートしているに違いない。 狸の皮算用をするには早すぎるのだが、そういう性分だから仕方が無い。 |
||
Yukari Yakumo |
「みんなお祭り好きだし、ここまですれば話に乗って
くるでしょう。 もちろんやるわよね?」 |
|
当然やるもの、と決め付けている様子で参加を促す紫。 霊夢はどうしたものかと思案している風だったが、魔理沙の方はもうすっかりその気になっているようだった。 |
||
Marisa Kirisame |
「私はやるぜ。 欲しい物が沢山あるしな」 |
|
Reimu Hakurei | 「それは最後まで勝ち残ったらの話でしょ」 | |
Marisa Kirisame |
「やるからには負けるつもりは無いぜ。 |
|
Reimu Hakurei |
「ちょっと、何であんたと私が組む話になってるの よ」 |
|
Marisa Kirisame | 「なあ紫、別に組むのは誰とでもいいんだろ?」 | |
Yukari Yakumo | 「ええ、別に自由よ」 | |
Marisa Kirisame | 「だそうだ、んじゃあよろしくな」 | |
Yukari Yakumo |
「それじゃあ二人は博麗チームね。 |
|
Reimu Hakurei |
「ちょ、 ちょっと紫、 待ちなさい!」 |
|
霊夢の静止も空しく、紫は空間に開けた隙間に体を潜らせ消えていった。 境内に元の静けさが戻る。残ったのはニヤニヤと楽しそうな魔理沙と、誰も居なくなった空に向かって手を伸ばす霊夢の姿だった。 |
||
Reimu Hakurei |
「紫のやつ、いつもはゴロゴロとグータラしてるくせ に、こういう事になると途端に張り切りだすんだか ら……もう、面倒臭いわね」 |
|
Marisa Kirisame |
「ここの所大きな事件も無かった事だし、ちょうどい いじゃないか。美味しそうなひつまぶしだぜ?」 |
|
Reimu Hakurei | 「最後まで食べ切れればいいけどね」 | |
なし崩し的に始まってしまった、幻想郷中を巻き込んだ陣取り合戦。 果たして二人は、最後まで勝ち残る事が出来るのだろうか……? |
||
Reimu Hakurei |
「ねえ、わざとやられてさっさと終わらせるってのは 駄目?」 |
|
Marisa Kirisame | 「駄目」 | |
Reimu Hakurei | 「……やっぱり」 |
*E002
博麗神社。 昨日までなら、箒を片手に境内を掃き清める霊夢の姿が見られたのだが、紫の気まぐれだかなんだか分からない戯れに巻き込まれた為、そんな気にはなれなかった。 |
||
まあ今更愚痴っても仕方が無いし、それにこれが紫の起こした人為的な異変というのなら、それを解決するのは博麗の巫女たる霊夢の仕事なので、いつも通り適当に解決する事にした。 | ||
……という訳で、成り行き上組む事になってしまった魔理沙と、これからについて話し合っているのであった。 | ||
Reimu Hakurei | 「……で、これからどうすればいいのかしら」 | |
Marisa Kirisame |
「うーん…… |
|
Reimu Hakurei | 「どっかってどこよ」 | |
紫から貰った地図を見ると、幻想郷が全部で23の地域に分割されていた。 霊夢たちの拠点となる博麗神社の他には、紅魔館、 白玉楼、 永遠亭 等々…… 錚々たる顔ぶれだ。 |
||
Marisa Kirisame | 「……なあ、こいつらも参加するのか?」 | |
魔理沙がそれぞれの位置を指差して尋ねる。 | ||
Reimu Hakurei |
「私に聞かれてもねえ。 |
|
紅魔館のレミリア・スカーレット。 |
||
霊夢達が勝ち残るのに、もっとも大きな障害となる存在である事は間違いないだろう。 | ||
Marisa Kirisame |
「地図を見る限り、こことは離れてるから当面は問題
無いだろうが…… |
|
Reimu Hakurei | 「……何そのいかにもそれっぽい言動」 | |
Marisa Kirisame |
「まず形から入っていかないとな。 |
|
Reimu Hakurei |
「まあね、面倒臭い事は考えたくないし。 |
|
Marisa Kirisame | 「ハハー、お任せあれ我が君」 | |
Reimu Hakurei |
「……で、これからどうすればいいのかしら。 |
|
霊夢が不満を垂れながら、手にした数枚の紙をペシペシと叩く。 それは紫から受け取ったこの壮大なゲームの説明書だったが、文字を追うだけではどうにも要領を得ない。 |
||
Reimu Hakurei |
「本人に聞くのが一番早いか。 |
|
何も無い空に向かって呼びかける。 一瞬の間の後、空間に亀裂が走り、その隙間から紫が姿を現した。 |
||
Yukari Yakumo | 「呼ばれた気がするわ」 | |
Reimu Hakurei |
「白々しいわね、どうせさっきからそこにいたくせ に」 |
|
Yukari Yakumo |
「あ、やっぱりバレてた? ちょっと、針出さない」 |
|
Reimu Hakurei | 「見てたんなら用件も分かってるわね」 | |
Yukari Yakumo | 「はいは~い、一体何が分からないのかしら?」 | |
Reimu Hakurei | 「そうね……」 | |
1・一通り説明を聞く。2・やっぱりいい。 |
*002_yes
Reimu Hakurei |
「こんなんじゃよく分からないわよ、ちゃんと説明し て」 |
|
Yukari Yakumo | 「それじゃあ、一から説明していくわよ」 | |
Yukari Yakumo | 「どう、やる気出てきた?」 | |
Reimu Hakurei |
「……ねえ、地図を見る限りだと、あんたも参加する の?」 |
|
Yukari Yakumo |
「さあ、どうかしらね~♪ |
|
Reimu Hakurei | 「何としてでもあんたの所まで辿り着いてやるわよ」 | |
Yukari Yakumo |
「おお怖い怖い、それじゃあ楽しみに待ってるわよ。 |
|
腹が立ったので針を構えてみせたら、紫の頭上に開いた隙間が閉じ、そのまま体を潜らせて姿を消した。 | ||
Marisa Kirisame |
「……なーんか、 すっかり掌の上って感じだな」 |
|
Reimu Hakurei |
「まあいいわ、どうせ他の連中は参加してしっちゃか めっちゃかしてくれちゃうんだろうし……」 |
|
Marisa Kirisame | 「解決するのは博麗の巫女たる自分の仕事、ってか」 | |
Reimu Hakurei | 「単にムカつくからよ」 | |
そう言うと霊夢は、紫の消えていった空を苛立たしげに睨み付けた。 まあやる気を出してくれたんだからいいか…… と暢気に魔理沙はいきり立つ霊夢を眺めているのであった。 |
*002_no
Reimu Hakurei |
「んー…… やっぱりいい」 |
|
Yukari Yakumo |
「あら、聞かなくても分かってるのかしら? 今聞かないともう知らないわよ」 |
|
Reimu Hakurei | 「しつこい」 | |
Yukari Yakumo | 「だから針は仕舞って~」 | |
そう言うと紫は、慌てて出てきた隙間に帰っていった。 隙間の中から声だけが聞こえてくる。 |
||
Yukari Yakumo | 「それじゃあ頑張ってね~♪」 | |
腹が立ったので針を投げつけてやったが、次の瞬間には隙間が閉じ、針はそのままあらぬ方向へと飛んでいった。 | ||
Marisa Kirisame |
「……なーんか、すっかり掌の上って感じだな。 |
|
Reimu Hakurei |
「何とかなるでしょ。 |
|
Marisa Kirisame | 「やれやれ」 | |
握りこぶしを固め、天に向かって殴りつける霊夢。 まあやる気を出してくれたんだからいいか…… と暢気に魔理沙は、いきり立つ霊夢を眺めているのであった。 |
*E004
Reimu Hakurei | 「はー暑い暑い」 | |
神社の境内では霊夢が、何時も通り掃き掃除をしていた。 掃き集めるような落葉や埃が積もっているわけでもないのだが、習慣とは恐ろしいもので、とりあえずやっておかないと気が済まないのである。 |
||
Marisa Kirisame | 「毎日本当にご苦労なこったな」 | |
Reimu Hakurei |
「昨日やらなかったら何か落ち着かなくて。 |
|
そう言うと霊夢は竹箒を脇に立てて、もたれる様に重心を箒に移した。 竹箒の先が重みで横に曲がる。 |
||
Marisa Kirisame | 「おいおい、箒が傷むぜ」 | |
Reimu Hakurei | 「その時はあんたの箒を借りるから」 | |
Marisa Kirisame |
「私の箒は特別製なんだ、掃除なんぞにこいつを貸し てやるわけにはいかないな」 |
|
Reimu Hakurei |
「あら、私の箒も特別製よ? |
|
……という割には、まるで薙刀の様にブンブン振り回したりしている。 これで叩かれたら御利益の一つでもあるかもしれないが、痛いのは嫌なので魔理沙は箒の届かない所に避難する。 |
||
Reimu Hakurei |
「で、今日は何の用? また作戦会議?」 |
|
Marisa Kirisame |
「ああ、まあ会議を開く程の事でも無いんだが…… |
|
Reimu Hakurei | 「えっ?」 | |
霊夢が驚いて聞き返す。 幻想郷中を巻き込むゲーム、とは言うものの正式に集団を構成しているのは、まだ霊夢達だけだったからだ。 |
||
Marisa Kirisame |
「ここから人里と森と、繋いでる道があるだろ。 |
|
Reimu Hakurei | 「ううんさっぱり」 | |
Marisa Kirisame |
「……まあいいけど、とにかくそこの妖怪連中…… |
|
Reimu Hakurei |
「紫の奴…… |
|
Marisa Kirisame |
「あいつら、あの神社の巫女に一泡吹かせてやるーっ |
|
Reimu Hakurei |
「別に何もしてないわよ。 |
|
Marisa Kirisame | 「……それだな」 | |
Reimu Hakurei |
「何でよ、大体あいつらのせいで参拝客がさっぱりな んだから、私の行為は当然の権利だわ」 |
|
Marisa Kirisame |
「別に何でもいいけどさ、とりあえずあいつらやる気
満々みたいだから、 |
|
Reimu Hakurei | 「こっちからも出来るのよね?」 | |
Marisa Kirisame |
「ああ、ルールにはそうあるな。 |
|
Reimu Hakurei |
「どうしてくれようかしら…… |
|
Marisa Kirisame | 「……お前と組んだのは正解だったぜ」 |
*E006
Reimu Hakurei | 「で、あいつら今はどうしてんの?」 | |
あいつら、とは先日結成された『妖怪軍団』のリグルとミスティアの事だ。 | ||
Marisa Kirisame |
「あー、あいつらならここと里、森を繋ぐ道に陣取っ たぜ」 |
|
Reimu Hakurei | 「はー、また面倒な所を……」 | |
地図を見ると、霊夢達の支配地域である博麗神社からは、人間の里と繋がる『夜盲の道』と、魔法の森に通じる『ほの冥い細道』へと道が伸びている。 そしてその二箇所は『妖怪軍団』の支配地域となった。 |
||
Reimu Hakurei |
「……つまり、あいつらをぶっ飛ばさないとどこにも 行けないって事ね」 |
|
Marisa Kirisame |
「そういう事。 |
|
魔理沙の言葉に、心底迷惑そうな顔をする霊夢。 何でそんな風に狙われなきゃならないのか、さっぱり分からないといった風だ。 |
||
Marisa Kirisame | 「何をそんな天神様を噛み潰した様な顔してんだ」 | |
Reimu Hakurei |
「そりゃあまだ早死にしたくないし。 |
|
Marisa Kirisame |
「そんな簡単にいくかな、あいつらそこらの妖怪連中 も引っ張ってきたようだぜ」 |
|
Reimu Hakurei |
「いつも私に懲らしめられてるような妖怪が、いくら
徒党を組んだ所で敵じゃないわよ。 |
|
Marisa Kirisame |
「……ま、お前がいりゃ大丈夫だろ。 |
|
Reimu Hakurei |
「あんたねえ、うちのお勝手使ってもいいから、たま にはあんたが何か作りなさいよ」 |
|
Marisa Kirisame |
「この世で一番の御馳走は、人に作らせた一杯の味噌 汁なんだよ」 |
|
魔理沙の言葉を聞いてか聞かずか、霊夢は小さく肩を竦めて屋内へと戻っていった。 別に魔理沙が居なくても自分の分の食事は作らないといけない訳で、結局手間は変わらない。 |
||
Marisa Kirisame |
「よし、御膳に預かるぜ。 |
|
Reimu Hakurei | 「うるさい!」 | |
『妖怪軍団』に宣戦布告出来るように
なりました。 |
*E008
Reimu Hakurei | 「ねえ魔理沙、ちょっと気になったんだけど」 | |
Marisa Kirisame | 「あ? どうした」 | |
霊夢が地図を広げて魔理沙に見せる。 | ||
Reimu Hakurei |
「うちって、買い物とかは里まで降りて済ませてるん だけど」 |
|
Marisa Kirisame |
「ああ、私もそうだな。 |
|
Reimu Hakurei |
「で、地図を見ると『人間の里』って場所があるんだ けど、位置的にもここがその里よね」 |
|
Marisa Kirisame |
「そうだろうな。 |
|
Reimu Hakurei |
「今どうなってるのか知らないけど、地図に載ってる って事は誰かの支配地域になるって事よね?」 |
|
Marisa Kirisame |
「んー、まだそういう話は聞かないが…… |
|
Reimu Hakurei |
「仮にそうなった場合、里に行けなくなるような気が するんだけど」 |
|
言われてみると確かにその通り、敵対する勢力の支配下にある土地にホイホイと出かける訳にはいかないだろう。 ……普通は。 |
||
Marisa Kirisame |
「でもなあ、私も森にある自分の家に帰ったりしてる
し、それ程気にする事でもないと思うが。 |
|
Reimu Hakurei |
「……それもそうね。 留守番よろしくね」 |
|
Marisa Kirisame | 「次は赤味噌がいいぜ」 | |
Reimu Hakurei |
「あんたが食べ過ぎるから里まで行かなきゃなんない んでしょうが!」 |
|
そう言うと霊夢は、肩をいからせながら空へと消えていった。 その様子を縁側から見上げながら、魔理沙がふと考えを巡らせる。 |
||
Marisa Kirisame |
「……魔法の森は誰の地域になるんだろうか。 |
|
Marisa Kirisame | 「……まあいいや、何か言われたらその時考えよう」 |
*E010
Reimu Hakurei |
「…… っと、これでよし」 |
|
人里から仕入れてきた食材を、それぞれの収納場所に収めて、霊夢は軽く一息吐いた。 一通り溜め込んだので当分は大丈夫だろうが、季節柄痛みやすいのであまり長持ちはしないだろう。 |
||
こういう時、少しだけ冬の寒さが懐かしくなる。 最も、冬になったらなったで夏の暑さが懐かしくなるのだが。 |
||
Reimu Hakurei | 「でも、これだけあっても無くなるの早いのよねえ」 | |
Marisa Kirisame |
「大食いなんだな。 少しは私を見習った方がいいぜ」 |
|
Reimu Hakurei | 「そりゃ毎日二人分消費してりゃね」 | |
Marisa Kirisame | 「二人分も食べるのか、健啖家だな」 | |
Reimu Hakurei | 「…………」 | |
霊夢に無言で睨みつけられ、魔理沙は我関せずという顔でそっぽを向いた。 | ||
Marisa Kirisame |
「そんな顔するなよ、私はお前の魔法を評価してるん だから。もっと嬉しそうな顔をしたらどうだ」 |
|
Reimu Hakurei |
「勝手に食べに来てるあんたが言う台詞か…… |
|
Marisa Kirisame | 「料理ってのは、魔法なんだぜ?」 | |
魔理沙の展開する持論に、意味が分からないという表情を浮かべる霊夢。 過程をすっ飛ばして結論から言われても、何の事だかよく分からない訳で。 |
||
Marisa Kirisame |
「白菜とか大根とか、そのまま齧ったりするか? |
|
Reimu Hakurei | 「……まあ、調理くらいはするわよね」 | |
Marisa Kirisame |
「魔法ってのは、そのままじゃ何の効果も無い森の茸 とかを、私の匙加減一つで色んなマジックにする物 だ」 |
|
Marisa Kirisame |
「料理だって同じさ。 |
|
Marisa Kirisame |
「出来上がった料理は、食べた者を幸せにしたり、健
康にしたりする。 |
|
……なるほど。その場の思いつきかとも思ったが、魔理沙なりに考えあっての言葉だったようだ。しかし、上手い事言うものだ…… と霊夢は少しだけ感心した。 |
||
Reimu Hakurei |
「あんたにしては面白い事を言うじゃない。で、あん たの魔法は誰かを幸せにしてるの?」 |
|
Marisa Kirisame |
「……痛い事を言うな。 |
|
魔法使いには、生まれもってのものと、人間が自ら望んでなるものと、二種類ある。 魔法使いとなった時点で人間ではなくなり、そういう意味では魔理沙はまだ生粋の魔法使いとは呼べなかった。 |
||
Reimu Hakurei |
「それじゃあ、魔理沙もいつかは人間やめちゃうのか しら」 |
|
霊夢の疑問は、話の流れからしてもごく自然なものであったのだが、魔理沙は一瞬酷く驚いたような顔をし、だがすぐに平静を取り戻してゆっくりと喋り始めた。 | ||
Marisa Kirisame |
「どうだろうな。 |
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Marisa Kirisame |
「でも私は、人間として、限られた時間の中で成しえ
る事に意味があると思ってる。 ドカーンってな」 |
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Reimu Hakurei | 「あんたの弾幕と一緒ね」 | |
Marisa Kirisame |
「派手でいいだろ? |
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Reimu Hakurei | 「良かったわね、人間のまま生きられるわよ」 | |
Marisa Kirisame | 「言ってくれるな」 | |
生粋の魔法使いと、人間の身から魔法使いになった者と、敢えて人間であり続ける魔法使いと。 そのどれもが生き方であり、そして選択するのも己自身である。 |
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そこに良し悪しは無く、だが今はただ人間のまま生きて、そして…… 魔理沙はそれでいいと考えていた。 |
*E012
妖怪軍団を撃破し、『夜盲の道』と『ほの冥い細道』を支配下に置いた霊夢率いる博麗神社。 ちょうど今、霊夢と魔理沙の二人が、今後の方針について話し合っていた。 |
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Marisa Kirisame |
「……で、次に隣接するのは二箇所、 |
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Reimu Hakurei |
「アリスからはもう宣戦布告されてるから、まずは そっちかしら」 |
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Reimu Hakurei |
「森か里か…… どうしようかしら」 |
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Marisa Kirisame |
「まあ順当に考えるなら、どっちか片方だけを相手に
するのが正道かな。 |
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Reimu Hakurei |
「地図を見ると、森の方は三箇所も拠点があるのよ ね。里の方がすぐ終わりそうな気もするけど」 |
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Marisa Kirisame |
「私の考えとしては、今の時点でそれはお勧めしかね るな」 |
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Reimu Hakurei | 「どうして」 | |
霊夢の疑問に魔理沙が、地図を指差して答える。 | ||
Marisa Kirisame |
「いいか、里に繋がってる所をよく見てみろ。 冥界へと続く桜花結界」 |
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Marisa Kirisame |
「里を攻め取ったら、こいつらといっぺんに対峙する 事になるぞ」 |
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Reimu Hakurei |
「あー…… |
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Marisa Kirisame |
「そういう事だな。 まあどうするかはお前に任せる」 |
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そこまで言うと魔理沙は、頭の高さに後ろ手を組んで、興味を無くしたかのようにゴロンと寝転がった。 それを見て霊夢も、地図を手に寝転がる。 |
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Reimu Hakurei |
「ふう…… まだまだ先は長いわねえ」 |
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Marisa Kirisame | 「面倒臭くなったか?」 | |
Reimu Hakurei | 「私は初めっから面倒臭いわよ」 | |
Marisa Kirisame |
「そうか、じゃあ風呂に入らないとな。 |
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Reimu Hakurei |
「あのねえ…… |
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Marisa Kirisame |
「非常に残念なお知らせだが、あるのは温泉じゃなく て脈だ」 |
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Reimu Hakurei | 「……あっそう」 | |
大地には龍脈が走り、生物の身体には脈が巡り、そして温泉にも脈が通っている。 熱を感じられる事が生きている証なのだと、茹だるような熱気に汗を浮かべながらふとそんな哲学的感傷に浸る霊夢だった。 |
*E015
Marisa Kirisame | 「……あれだ、多分私だ」 | |
Reimu Hakurei |
「いきなり何よ、今までの悪行を悔い改める気になっ たの?」 |
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Marisa Kirisame |
「お前な、こないだの事をもう忘れちまったのか? |
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Reimu Hakurei |
「ああはいはい。 早く弁償してあげなさいよ」 |
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Marisa Kirisame | 「何の話だ」 | |
Reimu Hakurei |
「あら、違った? |
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Marisa Kirisame | 「そんな勿体無い事誰がするか」 | |
Reimu Hakurei | 「もう、だったら何なのよ」 | |
Marisa Kirisame |
「これは推測だが、私がこっちに居るのが気に食わな いんじゃないか」 |
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Reimu Hakurei | 「どういう意味よ」 | |
Marisa Kirisame |
「私は元々は森に住んでるからな。 そんなとこかな」 |
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Reimu Hakurei |
「そう言えばそうね。 |
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Marisa Kirisame | 「紫の奴が『誰と組んでもいい』って言ったろ」 | |
Reimu Hakurei |
「じゃあ私でもアリスでも、もっと他の所でもいい訳 でしょ」 |
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Marisa Kirisame |
「……お前とあいつと、どっちがより勝ち残る可能性 が高いかを、冷静に計算した結果だぜ」 |
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Reimu Hakurei |
「……あー、さいですか。 抜け目無いわね」 |
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Marisa Kirisame | 「賢くなければ生き残れないぜ?」 | |
Reimu Hakurei | 「あんたのはあざといって言うのよ」 | |
霊夢と魔理沙、二人はとても長い付き合いである。 だが、両者の視線に些少ではあるがズレが生じている事には、まだ気が付いていなかった。 |
*E017
Reimu Hakurei |
「そういえば『私達』ってアリスが言ってたけど、達 ってアリス以外に誰が居るのかしら」 |
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Marisa Kirisame |
「あいつ、普段はいつも人形を連れてるだろ? |
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Reimu Hakurei |
「人形って、あれ自分で動かしてるんでしょ? |
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Marisa Kirisame |
「中には、ある程度自立して動くのもいるみたいだ
ぜ。 |
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Reimu Hakurei |
「それってつまり、人為的に命を与えるって事? |
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Marisa Kirisame |
「私もそう思うんだがな…… |
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Reimu Hakurei | 「誰よそれ」 | |
Marisa Kirisame | 「前に本を取りに行った時に、そこのメイド長から」 | |
Reimu Hakurei |
「『取りに行った』んじゃなくて『盗りに行った』ん でしょ」 |
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Marisa Kirisame |
「音じゃ違いが分からないぜ。 |
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Reimu Hakurei | 「そんなのが居たとしてもおかしくないって事ね」 | |
Marisa Kirisame |
「そういう事。 |
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それが普通の反応ではあるのだが、魔理沙は自分の興味の無い事には冷たかった。 その態度が誰かを傷付けるかもしれないという事にも、関心は無かった。 |
*E020
『魔法の森入り口』の奪取に成功した霊夢と魔理沙の二人が、森の中に立ち入り探索…… という名の散歩をしていた。 |
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Reimu Hakurei |
「しっかし…… |
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Marisa Kirisame | 「住めば都って言うだろ?」 | |
Reimu Hakurei |
「どんなに住んでも森は森、それより立派な物に格上 げなんてされないわよ」 |
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霊夢の言うように、森の中は決して生き物に優しくない環境だった。 それなりに力のある者なら、瘴気や飛び交う胞子等を体内に入らないようにブロックできるのだが、そうでない者にとっては禁断の地である。 |
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Marisa Kirisame |
「そう言うなよ、この森は魔法使いにとって具合がい
いんだ。 |
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魔理沙の指差した先には、木の根元に群棲している茸があった。どう贔屓目に見ても、あまり宜しい外観ではない。 | ||
Reimu Hakurei |
「何だ、食べ物の好き嫌いで揉めてたの? |
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Marisa Kirisame |
「誰が食うか。 |
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Reimu Hakurei | 「じゃあなんなのよ」 | |
Marisa Kirisame | 「……秘密だぜ」 | |
Reimu Hakurei | 「ケチ」 | |
魔理沙とアリスは魔法使いだ。 が、同じではない。 だが今それに触れる事も無いし、霊夢に話すような事でも無いと思い、何も言わなかった。 |
*E023
Aya Shameimaru | 「号外~、号外~」 | |
Reimu Hakurei | 「いたっ」 | |
静かな午後の一時を楽しんでいた霊夢だったが、その静寂はあっさりと破られてしまった。 霊夢の頭に、文が空から投げた新聞が直撃する。 |
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Reimu Hakurei | 「まーたあの出鱈目記者ね、今度は何よ」 | |
落ちてきた新聞を拾い上げて読んでみる。 | ||
Reimu Hakurei |
「えーと…… |
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Reimu Hakurei |
「この件により人間の里は大幅な戦力アップとなり、 敵対勢力である博麗神社側の苦戦は免れない物とな るだろう……何これ」 |
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Reimu Hakurei |
「記者ってのは、自分の事も記事にするのかしら…… |
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Reimu Hakurei |
「……いい根性してるじゃない。 |
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分かってても売られたケンカは買うのが主義なので、元々自分達の方から里にケンカを売った事は棚に上げて、闘志を燃え上がらせる霊夢であった。 |
*E025
Marisa Kirisame |
「よう、聞いたぜ。 というか読んだぜ」 |
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Reimu Hakurei | 「いきなり何の話よ」 | |
Marisa Kirisame | 「私の所にこんな物が来たんだよ」 | |
魔理沙はスカートの中に手を突っ込み、何やらごそごそしたかと思うと、一つの紙の束を霊夢に向かって投げた。 | ||
Reimu Hakurei |
「……ああ、これ。 てかどこに仕舞ってるのよ」 |
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Marisa Kirisame |
「利便性を追求した結果だ。 |
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Reimu Hakurei |
「ええ、頭にぶつけてくれたわ。 |
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Marisa Kirisame |
「却って回転が速くなるんじゃないか? |
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Reimu Hakurei | 「あんたは一々一言多いのよ」 | |
そう言うと霊夢は、巫女装束の襟元へと手を突っ込んで御符を仕舞った。 | ||
Marisa Kirisame |
「お前もどこに仕舞ってるんだよ。 |
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文の新聞をペシペシ叩きながら嘯く。 一体いつから最速の名は許可制になったのだろうか? |
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Reimu Hakurei | 「別にあんたの専売特許でもないでしょうに」 | |
Marisa Kirisame |
「何を言う、これは私への挑戦状に違いないぜ。 |
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Reimu Hakurei | 「……まあ、私に迷惑掛からない程度に頑張ってね」 | |
軽く釘を刺しつつ、やる気になってるなら勝手にさせとこうと思う霊夢だった。 |
*E029
Marisa Kirisame | 「おーい」 | |
いつもの様に、トレードマークの箒に乗って魔理沙が空から声を掛けてきた。 ゆっくりとホバリングしながら、霊夢の前に降り立つ。 |
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Reimu Hakurei | 「こんにちは、いいお天気ね」 | |
Marisa Kirisame | 「おおぅ、一体どうした」 | |
Reimu Hakurei | 「何がよ」 | |
Marisa Kirisame |
「いや、あんまりにも普通な挨拶だったもんだから、 面食らって」 |
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Reimu Hakurei | 「失礼ね、私だって挨拶くらいは普通にするわ」 | |
Marisa Kirisame |
「そりゃまあそうだが。 |
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Reimu Hakurei |
「何で私が怒られなきゃいけないのよ。 |
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Marisa Kirisame |
「その発言が既に、十分理由足りうる発言に聞こえる ぜ」 |
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Reimu Hakurei |
「どうでもいいわよそんなの。 |
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Marisa Kirisame |
「恐れてるって? |
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Reimu Hakurei | 「じゃあその背中の風呂敷包みは何?」 | |
Marisa Kirisame | 「古跡の発掘帰りだ」 | |
Reimu Hakurei | 「……盗掘、の間違いでしょ」 |
*E032
既に日も落ちて全く人気の無い博麗神社に、一つの人影があった。 数度辺りを見回すと、宙に顔を向け声を発する。 |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「……そこに居るのでしょう、そろそろ出てきたらど うですか?」 |
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??? | 「……………………」 | |
Shikieiki Yamaxanadu |
「かくれんぼに付き合う程、私は暇を持て余してはい ませんよ」 |
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??? |
「………… あらあら、バレてたのね」 |
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何も無い所から声がしたかと思うと、空間に亀裂が走り、そこから紫色の人影が一つ、映姫の目の前に降り立った。 | ||
Yukari Yakumo | 「ご機嫌麗しゅうございますわ」 | |
Shikieiki Yamaxanadu | 「気味が悪いのですが」 | |
Yukari Yakumo | 「随分酷い事を仰いますわねえ」 | |
Shikieiki Yamaxanadu | 「……本題に入りましょうか」 | |
ニコニコと笑みを浮かべている紫だったが、その裏側には何か底知れない空気を漂わせている。 しかし映姫はそれに全く動じる様子も無く、毅然とした表情で紫を見据えていた。 |
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Yukari Yakumo |
「……流石はあらゆる魂に裁きを下す閻魔、どこまで も真っ直ぐで、穢れも揺らぎも無い眼差しですわ」 |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「その私でも、貴方の事はよく分からない。 |
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Yukari Yakumo |
「心の境界、そう易々と踏み越えられる訳にはいきま
せんから。 |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「……境、それがあるならまだ良かったのかもしれな いけれど」 |
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Yukari Yakumo | 「ああ、やっぱり……」 | |
さも予期していた通りと言わんばかりに、紫が溜息と共に天を仰いだ。 ガッカリしている様ではあったが、さほど落胆している風でもなかった。 |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「貴方があの封書を持ってきた時は驚きましたが…… |
|
Yukari Yakumo | 「それはそうですわ、可愛いあの子の為ですもの」 | |
Shikieiki Yamaxanadu | 「だから、このような大掛かりな仕掛けを?」 | |
Yukari Yakumo |
「それは半分。 |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「……まあ、いいでしょう。 |
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Yukari Yakumo |
「あの子の血は、幻想郷の異変を解決し、そして結界
を維持する為のもの。 |
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Yukari Yakumo |
「だからセーフティとして、特定の何かに心を傾けな
いようになっている。 |
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Yukari Yakumo |
「表向きは沢山の人間や妖怪達と交流を持っているよ
うに見えるけど、ね。 |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「家族、恋人、親友、生の過程で出会う者達…… |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「このままでは、いつか生を全うした時、私の裁きす
ら受けられないかもしれない…… |
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Yukari Yakumo |
「はぁ…… |
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Shikieiki Yamaxanadu | 「乱暴な行為は肯定しませんよ?」 | |
Yukari Yakumo |
「例えですわ。 |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「……一つ質問しますが、どうしてそこまで肩入れす るのですか?」 |
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Yukari Yakumo |
「そりゃあ…… |
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そう言う紫の瞳は、目の前の映姫を通り過ぎて遥か、ずっと遠くを見ているようだった。 何か言葉を掛けようとしたその時、境内の奥屋の方から物音が聞こえた。 |
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Yukari Yakumo |
「あら、そろそろ引き上げ時かしら。 |
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紫の手が空に伸びると、現れた時と同じように空間がひび割れ、その隙間に体を潜らせてあっという間に姿を消した。 それと入れ替わるように、物音の主が正体を見せる。 |
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Reimu Hakurei |
「あーもう、さっきからおかしな妖気やらおかしな話 し声やら、うるさいったらありゃしない!」 |
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Shikieiki Yamaxanadu | 「こんばんは、起こしてしまいましたか」 | |
Reimu Hakurei |
「もう、こんばんはって言う時間じゃないでしょう
が。 |
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Shikieiki Yamaxanadu | 「長く生きれば、積もる話もあるのですよ」 | |
Reimu Hakurei |
「ふーん…… |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「ええ、私ももう引き上げますから。 |
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Reimu Hakurei |
「別に興味も無いし。 |
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Shikieiki Yamaxanadu |
「……確かに、そうですね。 それではお休みなさい」 |
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Reimu Hakurei | 「……変なの」 | |
霊夢に背を向け、漆黒の空へと飛翔する映姫。 彼女と、そして紫の願いが叶う日は、まだ遠そうだった。 |
*E033
人間の里を支配下に置いた博麗の勢力。 霊夢と魔理沙の二人は、その手中に収めた里を並んで歩いていた。 |
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Marisa Kirisame | 「さーて、とうとう地獄の門を開いたな」 | |
Reimu Hakurei | 「何よそれ、不吉な事言うわね」 | |
Marisa Kirisame |
「前に言ったろ? |
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Reimu Hakurei |
「そんな事言ってたかしら。 |
|
Marisa Kirisame |
「やられる前にやる、先手必勝一撃必殺の精神でいく か」 |
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魔理沙は息巻きながらブンブン腕を振り回し、偶々近くに居た里の者にぶつけて謝っている。 | ||
Reimu Hakurei | 「危ないからやめなさいって」 | |
Marisa Kirisame |
「いててて…… で、どっからいくつもりなんだ?」 |
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Reimu Hakurei | 「そんなの決まってるわ、紫のやつをぶっ飛ばす」 | |
Marisa Kirisame |
「まだ根に持ってたのか、お前って存外執念深いんだ なあ」 |
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Reimu Hakurei | 「この商売、舐められたら商売上がったりよ」 | |
Marisa Kirisame |
「まあ別にいいけどな。 うーん」 |
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Reimu Hakurei |
「どうしたのよ、柄にも無く考え込む素振りなんか見 せて。似合わない事するわね」 |
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Marisa Kirisame |
「博麗の軍師様に向かってなんて言い草だ。 |
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Reimu Hakurei |
「湖って、あー紅魔館の方角の。 妙な動きって何よ」 |
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Marisa Kirisame |
「聞いた話によると、まだその季節でもないのに、湖 周辺が冬みたいに寒いとか」 |
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Reimu Hakurei |
「あの辺が寒いのはいつもの事だけど…… 妖怪の仕業かしら」 |
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Marisa Kirisame |
「湖といえばあいつの根城だからな。 |
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Reimu Hakurei |
「そうね、慎重に考えましょうか。 |
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Marisa Kirisame | 「私は天麩羅蕎麦でいいぜ」 | |
Reimu Hakurei | 「誰が奢るって言った」 | |
Marisa Kirisame | 「誰が奢れって言った」 | |
Reimu Hakurei |
「私は冷奴蕎麦でいいわ。 |
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Marisa Kirisame |
「……奢らんぞ。 あと、西瓜も要らん」 |
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相も変わらず能天気で、気の抜けた会話を繰り広げる二人。 そんな彼女達の間を、涼やかな風が撫でていった。 |