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Strange Creators of Outer World/Violet Detector Interview with ZUN

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ストレス発散から生まれた!?
「秘封ナイトメアダイアリー」
開発秘話

今年はゲーム開発をお休みかと思われていたZUN氏だが、
そんな予想をいいいい意味で裏切って新作が世に送り出された。
本作で目指したこと、そして本作を作ることになった経緯などを聞いてみた。

SNS映えは幻想入りしたのか?

――

開発お疲れさまでした。今回はストーリーから先に発想があった感じなんですか、それともシステムありき?

ZUN
(Z below from here)

システムがメインですね。もう一回「文花帖」を作りたいなぁ。でもまた文を出して新聞を作るゲームにするのは芸がないなって。プレイする感覚としては同じでも違うストーリー、別の設定がほしい。それが無いと月の都の住人達も出し辛いし。「インスタ映え」という言葉が流行語大賞をとりましたから、じゃあ後は死語になっていくだけだなって。

――

先日、「やべぇここ超バエじゃん?」みたいな、こんなテンプレ喋りする人本当にいるんだって人らに出くわして、結構ショックでした。

いやあもうそういう人たちは既に幻想入りしてるでしょ。それにしても、あちこちで「フォトジェニック」という単語を聞くようになったけど、凄い違和感を感じるんですよね。そんなことを考えつつ、むしろ幻想入りしろと(笑)。頭の中では、去年がピークなイメージがあったんです。「インスタ映え」という単語が。

――

確かに、意識の高い人達のほうは段々落ち着いてきてるような。

インスタ自体も人が増えちゃうと、昔は穏やかな場所だったのに今は荒れやすいみたいになってきて、ネットサービスが必ず通る道を辿ってる。そういう風に衰退の方向にいってしまうのでちょうどいいなと。ゲームの中では、極力インスタっていう単語は使わなかったんだけど、タイトル画面バック完全にインスタですよね。

――

そういえば、あれなんで被写体が寝てる写真ばかりなんですか(笑)。

うーん、あそこのやつは、自分の持ってる写真の中で適当に選んだので(笑)。自分で行った場所だけですね。

――

「鳥居の足湯」って箱根ですか?

あれは多分箱根だね。一人で行ったと思う。

――

え、あの人影は自分ですらない? (笑)

最近スマホのアルバムみると子供の写真しかない(笑)。だいぶ古い写真ですねあれは。そもそもの流れとしては「文花帖」を作ったときに、新聞ってもの自体はどんどんと減っていくだろう、っていうところから始まってる。

――

実際かなり青息吐息な感じはあります。

だから今度はSNSですね。これまでのSNSのあり方が、かなり終わりに近いのかなぁってニュアンスをちょっと考えてた。本当はね、企画を考えていたときはTikTok(編注:短編動画共有SNSおよびアプリ)とかが念頭にあって。

――

終了どころか、かなり最新じゃないですか。

ゲーム内で動画を撮影できるようにすることを考えてたんですけど、その部分を実現するのに手こずってね。動画を撮るとかになると、途端に難しくなっちゃって、実装してゲームにするにはあと3か月欲しいなぁって感じになったから、スケジュールと照らし合わせて真っ先に切っちゃった。最初のアイデアの中にはそういうのあったんですよ、菫子の超能力レベルが上がっていったら動画が撮れるようになったら、絶対面白いなぁと。そして、そのためだけに必要な労力でかいなと。実装できたところでゲームが成り立つかどうかわからないしね。動画撮影中に死んだらどうすんだとか、そうすると写真のほうが良いじゃん、単純に難易度上がるだけじゃんとか。いろいろあった。

――

そこからの写真撮影第4弾。

やり方的にも同じで、『ダブルスポイラー』に関してはもう二作目なんで、同じシステムで続編らしさを見せるとしたらやっぱり新キャラと、ステージ数。「文花帖」にほとんどストーリーが無かったから、続編でストーリーっぽいものを入れてみて、突然新キャラも出る。まあこの手のやつは、僕の中では「リソース使い回しゲーム」なんですけど。そういう外伝的なものとして作るので、「弾幕アマノジャク」でも撮影とかよりもストーリー寄りにしたかったんですよね。

――

なるほど。

遊びはじめた当初の感触だと、なんかすぐ進んじゃう、思ったよりゲームの分量は少ないのかなと思ったら、このパターン一週間繰り返すんだ、となる(笑)。なので、あまり心が折れない程度の長さにしています。開発中は、ステージの半分ぐらいをクリアしないと次のステージに行けないようにしていたんだけど、僕の心が折れたので全部一個にしちゃった。

――

半分は結構厳しいですね……。

ステージが進むにつれて徐々に難しくなっていくゲームなんだったらそれもありだけど、そうでもないじゃない。異様に難しいやつがあったり、そうでもないやつがあったりするから、選ばせてクリアしたほうがいいね。

――

同じステージの中でも、人によって感じる難易度に差がありますものね。

微妙に難しいのがあったりする。それは単純に調整しきれてないかもしれないし、単に個人の得手不得手もあるので。レーザーが苦手とか、速い弾が苦手とか。

――

キーボードの調整忘れてShift押しすぎちゃうとか。

キーボードプレイはちょっと向いてない

夢の中の住人たち

――

敵側で登場するキャラクターの選定基準は、なるべく今まで出てないやつ?

そうですね。二周目までは基本チュートリアルという扱いなので、そこまでに大体のキャラを登場させていって。最後の一周はもっと過去作品からいっぱい出してあげようと。流れ的にはそういう感じを考えてました。物語の進行役であるドレミーが言ってるセリフでも、これから先にそういう人たちが戦いに出てきますよみたいな前振りで。夢の中の奴らなんで結構なんでもありな感じでコンビを組んできます。

――

ドレミーはストーリーが進む時に出てくるんですけど、わりと何しにきたんだ感が。

敵なのか味方なのか最後までよくわからない。最終的に私はどっちでもいいですよ、みたいなこと言うし。夢の世界の菫子が勝とうが、幻想郷の菫子が勝とうがドレミーにはどっちでもいいんだよ。

――

振り返るとそうですね。最初プレイヤーは、自分が「菫子」を操作してると思ってるから。

助けて、助けてってドレミーに言ってるはずなのに、とんちんかんの答えが帰ってくるっていうようなゲームだった。当初の予定では、もっともっといっぱいアイデアがあったんだけど、結局ほとんど入ってない。全てのゲームがいつもそうなんだけど、大体アイデアは出してもほとんどは反映しないで終わっちゃう。勿体無い。

――

アウトプットってそういうものかもしれませんね。

これがね、大きなゲームになるとそういうのが反映されちゃって、どんどん肥大化するんです。切る理由のほとんどがスケジュールの問題なので、スケジュール的に絶対作れないから、どこから切っていこうかって最低限残していく。その結果、最低限残ったものぐらいのやつのほうが、ゲームがスリムでいいんだよね。

――

曲は今回はいつになく、すごいジャズっぽい曲がきたなと思って。と思ったらその後でいつもの感じのが。

二周目のテーマ「ルナティックドリーマー」に関しては「こっから本番だ」みたいな感じを意識してます。急にボスっぽい曲がかかって、敵もボスっぽいやつが出てくる。そこも通り過ぎて、これからが本番だっていう三周目からは、そこまで激しくしないほうがいいんじゃないかなって。僕の中で曲の作り方がある。

――

ここからがいつもの東方だよぐらいのメッセージが。でも敵は凄いド級のボスが二人がかりでかかってくるっていう展開で。

あれも時間かかりました。ラスボスとEXTRAボスを組み合わせて出してるだけだけど、どこに誰をいれるか、何曜日のどこに出すかとか、凄い悩みました。シャッフルを加味した4人を考えて、どれが面白いかなとか。

――

一応それぞれのキャラはある程度同じパターンで攻撃してくれるわけで。

全部がバラバラだと作るのも大変だし、避けるほうとしても訳わかんなくなっちゃう。それに二人で出てる意味がなくなっちゃうので、それぞれ一人の攻撃をどれを避ければいいのかわかるようにしてます。

――

そういう夢の中で、「夢のキャラ」同士がどういう絡みをしていたとか気になります。

気になるよね。夢の中だから、結構いい加減なんだ。基本夢の世界の奴は、正直で竹を割ったような[1]性格だと、きっと思うんだけど。

――

ところで、あいつらは本当に全部「夢の中のキャラ」なんですか?

「ナイトメアダイアリー」でってこと? まぁ怪しいよね(笑)。隠岐奈辺りとか。

――

隠岐奈は「こいつひょっとして……?」って思わせるものがあります。

隠岐奈に関しては、かなり意図的にそうしてある。あと紫も怪しいですよ。なんでここで出てくんの、みたいなところで出てくるように作ってあるので凄い怪しい。

――

隠岐奈は、夢のキャラにしては会話が普通の感じだなっていう。

今回の中では、隠岐奈が一応悪役というか黒幕なので。要は凄いやつ探しをしているんです。菫子は、その中で見つけた一人みたいな感じになってる。

――

まだ探してるんですか?

二童子の後継者として部下になりそうなやつをね。一応探すつもりはまだあるみたい。

スマホをチャージ???

そういえば、遊んでくれたみんなが突っ込んでいるのかどうかしらないけど、僕の中で一番の悩みというかツッコミどころがあって。「なんでスマホでフィルム巻かなきゃいけないんだろ」って(笑)。もっと連射できるんじゃないのみたいな。

――

(笑)。

あれだけはね、説明がつかずにそのままにしてます。「文花帖」のシステムのまま、その部分も取り入れちゃってる。自分の中でそのシステムでゲームを作ることが前提だったので、それについて設定を作るのが後回しになっちゃった。チャージって言い方をしてるけど、いったい何をチャージしてるんだろう?(笑) そんなわけで、最初のうちは「文花帖」っぽい遊び方をするのも楽しいんだけど、今回の目的はボスを倒すことだから、最終的にボスを撮影することに拘らなくてよくなる。そうするとね、最終週全ての弾幕とは言わないけど、中にはショットで撃ってデスキャンセルしながら戦うほうが早くて楽な弾幕が結構あるんです。そうすることによって結構クリアしやすい。

――

なるほど???

というよりはね、撮影しちゃうと次にチャージが溜まるまでが長いんです。デスキャンだと結構すぐ溜まる。だからテレポでボスに近づいて、テレポ先に弾があったとしても大丈夫だから、もうそれだけの勢いでプレイしていく。ただの勢いゲームになっていくんですよ。

――

ライフを一個セーブしてるみたいな気持ちになってました。

これまたショットでたくさんボスを撃ったほうがチャージの効率がよかったりする。なのでどんどん強気に攻められるんです。トドメがさせる時だけ写真を撮る。

――

一枚は撮らないとダメですからね。

あのシステムも謎なんだけど、クリアには一枚撮らなきゃいけないじゃないですか。あそこの部分のシステムだけ最後まで、けっこう最初の時から二転三転して。やっぱりクリア条件に一定の撮影枚数があったほうがいいのかとか、撮影した写真にボスが写ってなきゃダメなのか、とか。風景だけでも良いんだけど……って、そこら辺も悩んで、最終的にはショットで倒すってことをメインにしました。写真を撮ってボスを倒すっていうシステムは、「文花帖」がボスを取材するっていう体裁だったから良かったけど、今回はボスが敵として出てくるからお話の設定と合わない。だったら倒したいってなって。でもボスを撮影すれば、結構大きなダメージ入るから基本的には撮影したほうが早く倒せるんですけどね。

――

今回印象に残ってる弾幕もしくはキャラの組み合わせってありますか。

後半でボスが二人組で登場するようになりますが、二人組で最初に作ったのがレミリアとフランドールなんです。そこの二人を僕の頭の中では、夢の世界で無茶なことしてるっていうゲームだから、それぞれの弾幕を両方出そうぐらいにしか考えてなかった。で、出してみたら全くクリアできなくて、ゲームにならない(笑)。それをどうクリアできるようにするかの、ギリギリの感覚が凄い難しくて、あまりにも見た目がショボくなっちゃうとせっかく二人出てるのにってなっちゃう。かといって、それぞれがそれぞれのキャラっぽい弾を出しちゃうと、本当にゲームにならなくて。そこの最初の調整が一番大変でした。何回も挑戦して、その後はそれを基準に作っていった。

――

プレイヤー的にはあの二人を見た時点でもうすごい身構えるわけですよ。

でもボス単体だと凄い弱いですけどね。みんな単体だったら簡単な攻撃ばっかりで、組み合わせてるから難しいだけ。

――

だから片方を倒すとちょっと難しくなるようになっている?

あれがまたね、異様に難しくなるやつもいればそうでないやつもいるんです。まあ最初の立ち位置とか動きとかによって、明らかに先にどちらかを倒すように仕向けて作っているわけです。それを無視して別の方から倒すと簡単なこともあります。だから、できれば同時に倒したほうが良い。

ゲームとお酒と

あんまりこのゲームそのものとは関係ないけど、菫子を出して今回初めて気づいたのは、菫子がメインだと作品からお酒の匂いがなくなる。

――

高校生はお酒飲んじゃダメです。

ストーリーにもお酒がでなくなって、酒臭い感じがしなくなる。だからちょっと厨二っぽい感じになってくるのかな。お酒を飲んで見る幻覚というよりは、若さが出る何かって感じ。イメージとしては、「女神転生」シリーズはお酒の匂いはするけど「ペルソナ」シリーズはしないみたいな感じ(笑)。単純に若い。
ゲーム的には、システムありきのゲームなんで。攻略するのが楽しいゲームではある。ただその中に今回はストーリーを入れました、ぐらいの作り方をしています。ゲームの性質上ストーリーだけを見たい人には、向いてないゲームですね。ストーリーだけを見るために苦行のようなステージをクリアするのは、本当の苦行ですよ(笑)。あれを楽しんでもらわないと無理だね。

――

ストーリーだけ見たい人はもうあまりゲームそのものをしないかもしれない。

動画で見たりね。そういう人たちの為に優しいモードも作らないとダメなんだけど、今回は「悪夢を見ている」っていうストーリーだから、弾幕が悪夢的に難しくないとお話が崩壊しちゃうので、優しくはできないんです。

――

「本人」に戻った時の難しさときたら。デスキャンも使えないですし。

急に能力が減っちゃうからね。そういえば最初の設定というか、作ってた初期はデスキャンは全然別の能力だったんですよ。あんまり便利じゃなかった。デスキャンは単純に喰らい撮影が使えるだけだったんです。それでも強かったんですよ、ちゃんと撮影にもなるしボスにダメージも与えられて。でも凄い上級者向けのゲームになっちゃってね。喰らい撮影にすると、今と同じで次の撮影までが短いから、ひたすらそれを連続でやっていくことでクリアするステージを最初作ってたの(笑)。

――

酷い(笑)。

喰らいボムをこんなに要求するゲームはダメだなぁってなって(笑)。もっと緩いシステムになりました。

――

ハッシュタグの「#はっ夢だったか」[2]はその辺りの名残でしたか。しかし「ナイトメアダイアリー」なのに「夢だったか」って。

あれもそうだけど、このゲームは結構ツッコミどころ満載でね。基本的には、あえて用意してる部分なんだけど、おかしなところが多いんです。ハッシュタグとか、会話の内容とかね。

――

そういえば、久々に火曜日に「サザエさん」を放送してたことを思い出しました。

僕の中では火曜日の「サザエさん」の曲が頭にこびりついて離れないんですよ、未だに。

――

これ以上ないぐらい昭和な会話だ。もう平成も終わろうとしているのに……。

平成終わっちゃうなぁ、あっという間でした。昭和をネタにするゲームはいっぱい出せるけど、平成をネタにするゲームは出せないな。まだピンとこない。

――

まだまだ現役感ありますからね。

平成という時代とこの後の時代が繋がっているようなイメージしか湧かない。がらっと変わるかな。あとなんか、ちょっと前に流行ってたシンギュラリティを迎えれば変わるのかもしれないけど。

――

改めて、開発を終えてどうでしたか。

こういう開発者がああやこうや言ったって、結局メインは遊ぶ人だからね。遊ぶ人がどう感じたかを、こういう風に感じなきゃダメだよとは言えない。それでもあえて言うなら、これは開発者のストレス発散の為に生まれた、そして作り始めた結果ストレスを抱えることになる、遊んだ人もそうかもしれないけど、そういうゲームでしたと。僕としては定期的にああいうのを作りたいです。

――

ここでおかしいのは、開発者のストレス=ゲームを作ってないことっていう。

その結果ゲームを作るけど、それもストレスになるので、もうストレスからは逃げられないです。

――

もう作らざるを得ない生き物って感じですね。それで他の人も楽しいんだったらより良いです。

理想ですね。たまに作りたい、いやむしろ毎回作りたい。

Notes

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  1. In the original text "竹を割ったような終わったような". It should be double mistakenly.
  2. It's trivial, but the symbol used here isn't a sharp but "igeta", precisely different one.