Lyrics: 彼岸紀行

From Touhou Wiki
Jump to navigation Jump to search


彼岸紀行 by GIRLSICK
Featured in:
SCCD-000.jpg
騒想者たち零
Original

×月◯日 出鱈目なスケッチのような風景、 歩けど歩けど人っ子一人すれ違わない。 真っ白だった一張羅はぼろ雑巾のように煤け、 何処からか吹く風の一つさえ凌げやしない始末だ。

六文銭を持たされると聞いたが、何処にも見当たらない。 思えばそうだ。現代のそれは所詮紙。 葬儀場で燃やされ、灰ばかり残るのが関の山だろう。 先立つ物に頭を抱えつつ、棒になった足に鞭を打つ。

×月△日 ようやっと違う風景に辿り着いた。 川。いつか聞いた賽の河原に違い無い。 仲睦まじく遊ぶ若い親子の姿を見つけた。 笑う子の頬は痩けきっている。一家心中だろうか。

更に見遣れば、違う子供が石を積み上げている。 逆さになった石の氷柱が彼を取り囲んでいた。 時折手を止めその親子を疎ましげに眺めるが、 程無くしてぼくを見つけたようだ。引き攣った顔で逃げていった。

「やい」と呼ぶ声がして、振り向けば赤髪。 色の無いキャンバスに、絵の具が咲く。

赤は物臭に立ち上がり、舟越しに手を差し出した。 嗚呼…南無三、物に聞く渡し賃か。 疲労感しか持ち合わせずばつの悪そうな顔で居たぼくに、 赤はきょとんとした後、何か悟ったように大口で笑った。

身を乗り出し更に伸ばすその手でぼくの腕を掴むと、 忽ち引き摺り込まれ、大きく軋む音。 動転したぼくが何か言う間も無しに赤は竿を取り、 「見ていろ」と言わんばかりにそれを水面に突き刺した。

何者にも成れず亡き者に成ったぼくに、 「悪いようにゃせん」と笑う。 揺れる赤髪に鼻腔を擽られて、 ぼくはついくしゃみをした。

Lyrics source: Lyrics provided by TV SHOP ON THE SECOND FLOOR