Strange Creators of Outer World/Hero Yamada-kun Interview

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弾幕輝珍城おつかれさま座談会

ZUN
いつもの上海アリス幻樂団の人。この雑誌の裏の編集長。

木村祥朗
Onion Games代表。旅人でゲームデザイナー。

杉山圭一
スタジオカリーブ代表。ミュージックコンポーザー。

(聞き手・編集部)

ラブコールは配信前から

Kimura

もう忘れてるかもしれないけど、「ヤマダくん」リリース直前にインタビューがあって、その時に「僕、今度こんなゲーム発売するんですよ」ってZUNさんに見せたんです。

ZUN

曙橋のゲームバーでしたね。

Kimura

「これからいろいろな人がお客さんとしてゲームに登場するようにしたいなと思ってて。だからZUNさんもゲームの中に出ませんか?」って。そしたら「いいよいいよ」って言うんです。でも、当時はまだコラボダンジョンなんて概念も無かったし、どうしたらいいんだろうって。それからしばらくして、大阪で「ヤマダくん公式飲み会」をやったときに、結さん(※編注:女優、タレント。ゲーム配信のMCなどでも活躍中)に来てもらったんだけど、ちょうど結さんがその少し前に東方のニコ生配信にZUNさんと出ていたんですよ。

ZUN

Play, Doujin!の配信でMCをしてもらいましたね。

Kimura

結さんが東方もすごく好きだって言うんだけど「東方のユーザーと『ヤマダくん』のユーザーって似てる所があると思いますよ。私も両方好きだもん」って話をしてれたんですよ。結さんは「私ゲーム大好き!」っていうキャラじゃないですか。だから「ヤマダくん」を応援してくれながらも東方もやってるっていう話を聞いて、ジェラシーを感じちゃってね。

All

(笑)

Kimura

でも、もしかしたら東方とのコラボっていいんじゃないかって思ったんですね。そうしてやっとZUNさんを呼びだすんだけど、その時の緊張感ったらね。

ZUN

まず東方で何かしたいんだろうなってのはすぐにわかるよね。そして木村さんが現在進行形でやってることと言ったら「ヤマダくん」。もうわからないはずないよねもしそれ以外のことを言ってきたとしたら驚きだったけど(笑)。

企画のスタートも呑み屋

ZUN

最初に木村さんから持ちかけられた企画だと、ヤマダくんが幻想郷に入っていくっていう話があったんです。そうすると途端に東方の世界にヤマダくんがくることになるので、相性がちょっと悪いかもしれないなって。

Kimura

話を持ちかけた時は、ほぼ何も思いついてないから「幻想郷に入る」ことしかきっかけが無いんじゃないかと思ってたんですよ。幻想郷に入っていいですか? っていうところから話を振ったら「違う」って。

ZUN

それだったら上手くいかないだろうな~と思いましたね。

Kimura

その次に「考えてきたんで!」って杉山さんとZUNさんと3人で会ったんですよ。その時に、東方は和風だし「ヤマダくん」も和風なものをやってみたいから、紅葉を出したい。紅葉と言えばだから「風神録」で何かやりませんか、という話をした……んですが、実はその話は他の人からの受け売りです(笑)。

All

(笑)

Kimura

僕の周りにいる東方クラスタな方々に相談して、あわてて「風神録」を遊んだりしてキャラクターの勉強もしたわけですよ。でも「風神録」のキャラでセリフを書こうとしてみたものの全く思いつかなくて。でも紅葉は出したいし、画面の縦スクロールもしてみたいから、まずは提案してみたんです。

ZUN

その時は「風“電”録」って言ってましたよね。

Kimura

「ヤマダくん」がピコピコする話だから「電」かなって。

ZUN

それを言われた僕も、ちんぷんかんぷんでね。でも話を聞くと木村さんが焦ってる。なんでそんなに焦ってるんだろう? と思ったら「いやあ、もう今月の月末くらいには実装したいんですよ」とか言い始めるから、えっ何言ってるんだろうこの人? と(笑)。

All

(笑)

Kimura

あのテンポでやるには、2回目の打ち合わせの時にいろいろ企画を決めないといけなかったんです。そんな時にZUNさんが「輝針城」でどうですかって提案してくれて、心がリラックスしましたね。何故なら、僕にとっては最初にプレイした東方が「輝針城」だったから。ポリポリクラブが始まって、ZUNさんと出会ったのが「輝針城」が出るころの2012年。「これが東方か!」「妖怪出るんだ!」って。最初にプレイした作品だから、いろいろ印象深いんですよ。でも、周りでアドバイスしてくれる人は「風神録」や「紅魔郷」の話を揃ってするわけです。ただ「紅魔郷」をプレイしてみても、自分の中にあった東方のイメージと全然違っていて、なんかピンとこないんですよね。

ZUN

「紅魔郷」は全然和風じゃないですものね(笑)。あれはわざと洋風にしてるんです。

Kimura

そうだったんだ。「紅魔郷」をプレイしたら「あれ、東方って“こっち”だったの?」ってちょっと混乱しちゃって。でもミーティングをしているときに「輝針城」はどうかって言われたから安心できてね。

ZUN

理由は、まずコラボするゲームは新しい方がいいだろうっていうこと。でも、最新作の「紺珠伝」は内容的にコラボには全く向かないだろうと思って。コラボ名は別の日に打ち合わせて、これがまたいつまでも決まらなかった。

Sugiyama

木村さんは「電」を使いたいってずっと言ってましたもんね。

ZUN

そんな中で、誰かスタッフの人が帰っていく時に、木村さんがどんなのがいいか聞いてみたら「ちょっとふざけたやつがいいと思いますよ」って言ってもらったの。その瞬間に「珍」が現れた(笑)。

Kimura

珍だよ! 珍に決まってるよね! ってなった瞬間に……「輝珍城」だ! って心が落ち着いたよね。あれが最後の難関だった。

ZUN

コラボダンジョンがひとつの「城」ってことならわかりやすいし、ダンジョン名として考えようって。

Kimura

針妙丸は「捨てられた道具のことをどう思っているんだ」みたいなことを考えているキャラだったし、「ヤマダくん」では使わない道具がたまったり捨てられたりするから、話が書ける! と思いましたよね。で、今度はボスキャラとかステージ用に曲を作らなきゃってなるわけですが「これ7~8曲必要なんじゃ?」って候補がどんどん並ぶんです。でも、とりあえず杉山さんにリストをブン投げてね。

Sugiyama

だいぶ盛りだくさんでした。僕はボス用に針妙丸の曲も入れたかったんですけどね。

Kimura

正邪だけと戦う時と、二人いっぺんに出てくる時では音楽は変えたかったんですよね。でも針妙丸は正邪にそそのかされてるというか操られている部分もあるから、正邪の曲を流すのがいいし、その曲の中にギャグを入れておけばどうにかなるかなって。

Sugiyama

ひどい(笑)。

ZUN

針妙丸の曲にしちゃうと、ボス戦が盛り下がっちゃったかもしれない。そのあとにラスボスで「呑んべぇのレムリア」が流れるなら、きっとそっちのほうが盛り上がるかなって。

Sugiyama

あの時はもうZUNさんが登場することは決まってたんでしたっけ?

ZUN

これまでのコラボではラスボスが倒されたら、さらに強いやつが出てくるパターンだったんですが、今回は僕を倒した後に何を出したらいいんだろうと木村さんが悩んでたの。そこで、ボスを倒した後に僕が出たらいいんじゃないかって。ボスを倒したらさらに強そうなのが出てくるわけじゃなくて、弱くしようと。

Kimura

HP10にしたのは面白かったね。誰もがそういうふうに言うのよ。ZUNさん自身も開発チームのみんなも「ZUNさんが敵で出るならHP10とかにしちゃいますか」って言うんだよ?

Sugiyama

言った(笑)。僕としては、イベント冒頭でZUNさんが登場した時に曲が流れるんだけど、もうその瞬間にみんなが笑ってくれたことが嬉しくてね。掴みはオッケーだな! って。

Kimura

「チャーラララーラーラ~♪」「プッ(笑)」ってね(笑)。

ZUN

今回はそのあたりの曲を付録で入れさせてもらってるんだよね。贅沢。

Kimura

ZUNさんの顔も結構修正したんですよね。最初はもっと普通だったんですよ。ただ普通に細長くって。でもちょっと雰囲気が違うなっていう話をして、「ZUNさんの顔はこういう系統のキャラのカッコよさだから」って、いろいろなキャラを挙げたんです。その中で「サイボーグ009」の004、ドイツ人で全身に兵器を装備してるキャラがいるんだけど、口の端が上がってて目が白目のヤツ。あれとZUNさんのカッコよさは同じだから、こういう方向にデフォルメしてくれって。

おつかれさまでした

Kimura

終わってみると、作り込が大変だったことの記憶と、みんなの疲弊していく顔と……。

ZUN

イヤすぎる(笑)。

Kimura

リリースしたあと、東方好きの新規のプレイヤーがすごく入ってきてくれたし、その方々が「『ヤマダくん』は面白いから、みんなもやってみてよ」って周りに勧めてくれた。そういう、ゲーム好きによるウェーブみたいなのがぶわーって起こって、まるでゲームのリリース日みたいな感じでした。好きって言ってくれる理由が「凝ってるから」「こんなにキャラが出てきてしゃべるんだ」「こんなに音楽も使われてるんだ」「でもすごく敵が強くてすぐ死んだわ(笑)」ってところなんですからね。

ZUN

東方好きやゲーム好きにとって「すぐ死ぬ」じゃ褒め言葉みたいなものですからね。

Kimura

のんびりやろうとか、強くなってから挑戦しようって言ってもらえて、必死でやってよかったなって思いましたね。顔は疲れ切っててほぼ死んだような状態でしたが(笑)。

All

(笑)

Kimura

コラボダンジョン実装のためのメンテのことを覚えてる人は、当時の大変さを想像できると思うんですけど、普通のメンテって15時から開始して16時で終わるんですよ。その時はまずメンテの開始時刻からして延びて、まず16時開始が17時開始になり、ついには始まる予告時間が無くなって、いつメンテが始まるんだろうってなって。その間僕らはずっとバグを直してるんですよ。なんでそんなことしてるかっていうと、ほんの3日前にエフェクトにダメ出しをしまして。

――

そんなことが!?

Kimura

敵キャラが弾幕を準備(チャージ)して、攻撃をされると弾幕がキャンセルされるっていうのがゲームプレイの流れというか、ゲームになっている部分なんですけど、チャージ中のキャラの見た目がぱっと見いまひとつだったんです。「俺に見せるのが遅すぎるわ!」って、急遽直してもらいました。最初は簡素なカウントダウンみたいな感じだったんですけど、ちゃんとキャラにあわせなきゃって。霊夢だったら御札状のものにしたり、妖精だったら別の形状に、とか。おかげで音の入れ方も変わっちゃったし。

Sugiyama

そうですね。けっこう最後の方にオーダーが来ましたね。メンテ前日とか(笑)。

ZUN

当日さ、コラボの配信が始まったらTwitterで告知しなきゃってずっと構えてたんだろうけど、いつになっても始まらないの(笑)。もう今日は無理じゃないかな、そろそろ寝ようかなってころに、もう始まってるぞ! って。

Kimura

メンテ時間が長かったけど、そのおかげで何回か音楽に手を入れたんですよ。思い出すとひどい話ばかりですね。でもね、ダメだったらそれをちゃんと言わないといけない。

東方ファン=こわい?

Kimura

なんでこんなに苦労して一生懸命作ってたかって言えば、面白いゲームを作りたいっていう思いは根底にあるんだけれど、「東方ファンが遊ぶからな……」って。

All

(笑)

ZUN

変なもの作ったら、怖いですよ(笑)。

Sugiyama

まだその時は、お客さんの表情が見えなかったからじゃないですか?

Kimura

勝手に怖いと思い込んでたんですよね。すごくマニアックで、「こんなんじゃないよ!」「こんなキャラじゃないよ!」って言ってくる人がいっぱいいるんじゃないかって。

ZUN

わかるわかる。僕だって何か変なことをすると、東方ファンから怒られます。でもそういう人が全てではないですし、むしろそういう人たちに向けてモノを作らない、というのが僕のポリシーでもあるんです。

Kimura

結果的には、みんなすごく温かかったし、既存の「ヤマダくん」ユーザーも東方から入ってきた人たちに対してすごくウェルカムで。「ウチのヤマダがすみません」みたいな、こっち側の味方をしてくれるし、新規ユーザーにいろいろ教えてくれるんですよ。挙げ句の果てには、「ヤマダくん」プレイヤーで「輝針城」をプレイする人が現れて「あのコラボの内容ってこういうことだったんだ」って発見してるんですよ。

ZUN

すごく優しい世界ですね。でも「ヤマダくん」はゲームの世界観がメタ的なので、ほかのゲームのネタを出しやすいと思うんですよ。ガチガチに固められた世界観で、外の物が入ってこられない、というものではないから。

――

確かに。コラボの導入部分でヤマダくんの家にZUNさんがやってきて、いきなり縫いで、勝手にプログラムを書き加えていっちゃうじゃないですか。こういうことなんだ、これならなんだってできていいなって。

Kimura

いやーでも、キャラクターのセリフを書く時、元からいる人やりキャラの場合は気を遣いますよね。ノビヨだったら植松伸夫さんぽくしなきゃ、ZUNさんっぽいことを言わせなきゃいけない。でもZUNさんの時の難易度の高さね。

――

陣中見舞いしてくれる時のZUNさんのセリフの再現度はすごかったと思いますよ。(編注:アイテム「東方コイン」を買うと、1個につき1回ZUNさんがヤマダくんの家に陣中見舞いに来て呪文をくれる)

Kimura

あれすごくないですか? 瞑想してちょっとトランス状態に入りなりながら「ZUNさんだったら……なんだっけ……」ってこれまでの会話を想像して書きました。

音楽、ギャグ、セリフ

――

そういえば「ヤマダくん」がリリースされてすぐにZUNさんと感想を話したんですけど、「ブロンソンのセリフ見た?」ってなるんです。

Kimura

あ―――……あっはっはっは(笑)。

――

「ひとりでゲーム作っていい気になってるんじゃねぇ!」って。

ZUN

あれ最初に見た瞬間「ああ、これ僕のこと言ってるんだな」って思いました(笑)。

Kimura

あれは自分への反省なんです。しばらくゲーム制作から離れていて、戻ってきて一人でインディーズゲームを作ろうとしていた時期があるんですよ。今からでもコーディング復活できるだろうって、やってたんだけど自然と倉島(※編注:ゲームグラフィックデザイナー・倉島一幸氏)を誘い、トムちゃん(編注:ダンジョン職人・池田トム氏)を誘い、自然とプログラマーを誘い、いつのまにか結局チームになってた。最初の決意は何処に行ったんだろうって、どんどんそこから離れて、そんな時にポリポリクラブが始まってZUNさんが僕の前に現れるし、同人やインディーの中にも一人で作ってる人もいることを知って、すごくうらやましかったんですよ。たくさんで作っていることの面白みだってもちろんあるし、どちらが偉いってものでもないよな、という結論にあるとき至るわけですよ。そんなモヤモヤが「ヤマダくん」のシナリオを書いているときにあって、これだ! って。だからゲームの最初は一人であることを愛でていて、一人で作るヤマダが面白いでしょっていう流れななけど、それを「偉そうにすんな!」って言う奴が出た方が面白いと思って。

Sugiyama

ブロンソン川田って、かなり後期にできたキャラだったんですよ。作ってるうちにできてきた。シナリオが引き締まりましたよね。

Kimura

キャラを作ると、また僕がふっと思いつくんですよ。「こいつに曲が必要だ」って。でも杉山さんはやっぱりテキパキしてたなあ。

Sugiyama

だってブロンソンでしょ? じゃあチャールズ・ブロンソンだよねってなる。

Kimura

西部劇でしょ? って。このあいだもさ、イベント「珍撃のバトルタワー」のBGMで……。

Sugiyama

ラロ・シフリンの話をしましたよね。(※編注:作曲家、編曲家。ハリウッド映画や米TV番組の劇伴で知られる)

Kimura

そう、突然ラロ・シフリンの話が始まって、かっこいいよなって。おんなじ時代を生きてきたから、お互い好きな音楽も似てるんですよ。

ZUN

いいですね。それが本当のパロディなんですね。

Kimura

全く同じにするんじゃなくてエッセンスをもらって、時代を共有している人たちに伝わるようにしようと。音楽を作るときの苦労話って山ほどありそうだけど、杉山さんって俺から話を振られた後はいつもどうしてるの? だってすごいペースじゃん。3日前とかに「もしできたら……」とか。

Sugiyama

急な時こそ曲にどういうイメージを持っているかの、お互いのずれを直すところから始めるんです。一つの曲でもいろいろな人がそれぞれの印象を持ってるから。あと曲には、みんないろいろな記憶が紐づいてるんです。そこを引っ張りだせるようなところを狙ったりもする。「バトルタワー」の曲でも、「塔を上っていく内容だからブルース・リーで」っていう話をしたんですが、実はあの曲って「死亡遊戯」の曲じゃないよね、とか。

Kimura

そうそう(笑)。

Sugiyama

「死亡遊戯」はジョン・バリーが作曲なんですよ、「007」とかの劇伴の。でもみんな「塔に上るのはブルース・リー、ブルース・リーといえばこの曲」って紐づいてるから、ギャグとしては成立するだろうって。そういう連想する時の柱となるようなものを、まず考えますね。「輝珍城」の時は、もっと違うところで大変でしたけどね。最終的にはレトロ感とギャグ、というところ以外はあまりいじってないです。

ZUN

木村さんの事務所で聞かせてもらったファーストテイクのものは、素直に全部の音がピコピコ音で曲が作られていたんですよね。

Sugiyama

どこに落しどころを持っていくべきか悩んでましたね。

Kimura

ピコピコさせても普通になっちゃうんだなって。そこで、ZUNさんが帰り際に言うんですよ。「リコーダーとかの方がいいような気がするな~」って。

ZUN

単純にレトロではなくて、ノスタルジーのほうの懐かしさを出す時に笛の音を使うんだけど、笛の音でピコピコにするんならリコーダーじゃないのっていう発想で。

Kimura

あのスルーパスが大きかったね。

――

それで「ミストレイク」があんな感じに。

Sugiyama

僕の中でリコーダーは、ピッチが外れる楽器っていうイメージがあって、使えるなって。間抜けな感じがしやすいんですよね。ピーって裏返ったりとかして。あと気を付けたのはイントロですね。出だしでギャグが決まっちゃうので……。「童祭」もそうだし「ミストレイク」だったら声で「だんだ、だんだだだ♪」っていうのと クチの琴で「びょんびょ、びょんびょびょびょん♪」ってのが両方来るように。

Kimura

“弾”幕だから「だんだん」って入れるのがいいんじゃない? とかね。

ZUN

そこだけで元の曲がわかるっていうのも面白いよね。

――

東方と「ヤマダくん」がいっぺんに始まったな! っていうのがすごく伝わって、良いですよね。

Kimura

確かにね。「くふっ」って笑っちゃうもん。

Sugiyama

ちゃんと掴めてたね。今回の付録に収録するのh3曲なんですが、最初の掴みは「童祭」でいきたいなってことえ。

Kimura

「リバースイデオロギー」の入りはどんなんだっけ?

Sugiyama

「ダバダバだん、ダバダバだん♪」(笑)。

Kimura

あれも、僕は気楽に「ダバダバ言えばいいんじゃない」って言ったけど、杉山さんが歌うのは大変そうだなって思った。

Sugiyama

そんなにでもなかったかな。「ダバダバだん」だけじゃつまらないって話になって、そこから「どんぶらこっこ」を入れることになって。

Kimura

「どんぶらこ」を入れるときに、要はお椀が流れてくるから「どんぶらこ」だよねって話してるうちになるんだけど、結局そこから「ポリンキー」……じゃなくて「ドンタコス」になって帰ってくるところが杉山さんすごいよね。

Sugiyama

「ドンタコスったらドンタコス♪」。わりと暗いトーンで歌うわけですよ。「どんぶらこっこ、どんぶらこ」。このテンションだなって。あの一連のCM音楽を作った佐藤雅彦さんの言葉遊びがすごく好きですね。「スコーン、スコーン、コイケヤスコーン♪」とか。「どんぶらこ」はミスマッチ感を狙ってるんですよ。曲のテンションは高いのに、あそこだけすっごく低いの(笑)。逆に「呑んべぇのレムリア」は声を重ねようとしたけど、演出で消したんですよ。最後だし、恰好良くしようということで。演出的にはそっちの方がいいだろうってなって。

Kimura

「なんでもね、『チンチン』言えばいいってもんじゃないんですよ」

All

(笑)

Kimura

「なんでもね、ハミングすればいいってもんじゃないんですよ」なんて、突然僕がそういうこと言い始めるもんだから、杉山さんとしても「やらせといてお前……!」ってなりますよね(笑)。最初は「これハミング入ってないから、入れておいた方がいいんじゃないの?」とか言われてたからやったのに、最後で「やめよう」みたいな。

Sugiyama

やれって言ったやんか! って(笑)。最初はイントロの部分に僕の声で「ダァン! ダァン! ダダダダ、ダァン!!っていうのが入ってた。でもZUNさんの周りがガシャン! ガシャン! って変形していくインパクトとかが曲のほうに持っていかれちゃって、最後の雰囲気が薄れちゃうんでダメだろうって。」

――

黄昏酒場にステージが移動したときの会話中にバックでガヤ音が流れるんですけど、あれもどこかで収録してきたんですか?

Sugiyama

ガヤありましたね。木村さんからは酒場のシーンって言われてたんだけど、絵が上がってこないものだからバーなのか居酒屋なのかイメージが掴めなかったんですよ。でも音自体は自分のライブラリにストックがあって。僕は普段からいろいろな場所の音を集めてて、たとえば海外に出かけた時にはどんどんガヤを取ったり。で、黄昏酒場の見た目はバーなんですけど、無音だと面白くないからガヤ音を入れようって。

Kimura

あれはイメージ的には酒場街の地下にある小さなバーですよね。だから風景的な音がいいだろうなって。最初はただの暗闇だったんだけど。

ZUN

元々「呑んべぇのレムリア」が流れる所って、設定的にはビアガーデンなんです。「サタデーナイトガーデン」っていうお店で、夜通し営業してるイメージなの。だから頭の中では、背景はビル群の夜空で、オープンスペースな感じになってますす。

Sugiyama

そういえばZUNさんの声素材を収録したのも、配信の一日前です。

ZUN

突然くるんだもの(笑)。すごい緊張しました。

Sugiyama

セリフを読んでもらって。レコーダー持ってって(笑)。

ZUN

昼間に自分の家のリビングで、さあしゃべろうってセリフ読むんだけど、なかなか喋れない。

Sugiyama

ZUNさんは地声自体は低いんだけど、僕らが知ってるZUNさんは呑んでて楽しくなってテンションも高くなってる声なんですよ。だから声もちょっと高いんだけど、そこに到達するのが大変でした。

ZUN

「ハイ、ズンデス」って妙に落ち着いてしゃべっちゃうんだよね。

Kimura

じゃあ結局お酒飲んだの?

ZUN

呑まないで、シラフで正座してしゃべってました(笑)。

Sugiyama

結局は一部、ZUNさんと僕との雑談を使ってるんです。で、他のセリフもトーンに近付けて高めにすることで上手くいった。だから「ンフッ」って言ってるのとかは、素で喋ってるときとかですね。

Kimura

ZUNさんよく笑うよね「フフフ」って。

ZUN

笑いますよ(笑)。

Kimura

やっぱりそうなんだ。僕もだけど、みんなもZUNさんの特徴として覚えてるんだね。

Sugiyama

収録が直前になったのも、要はその前日に、ようやくプロットが完成したからで。

Kimura

ZUNさんのセリフ決めるのは大変なんですよ。

ZUN

僕も「輝珍城」ではけっこうな量のセリフを書いたり直したりしたんだけど、さすがに自分のセリフを書くのはちょっとなって。

Kimura

魔理沙や霊夢のセリフは完ぺきにZUN節じゃないとまずいと思ったんで書いてもらってます。針妙丸や正邪のセリフは最初に僕が書いたものをZUNさんに監修してもらって。「こうは言わないんだよこのキャラは」みたいな。キャラの立ち位置関係とか。

――

正邪も「針妙丸先生!」とか言い始めますからね。

Kimura

あのキャラのことを知らない人が見たら、わけがわからないよね(笑)。でも、結構許容範囲だったよ。面白いなって。

ZUN

コラボだから許されるんじゃないかな。元のゲームだったらきっとこういう性格なんだろうって想像してもらえるから。

Kimura

だからZUNさんのセリフは最後に書いたんですけど、「木村さんのフィーリングでやっちゃってください」って任せてもらえた。ZUNさんはZUNさんのキャラを書かないからね。

ZUN

そこでぶん投げられた霊夢と魔理沙が大変だったよ。

――

「システム的にグレイズできないことを後悔するがいい!」とか、いいセリフでした。

ZUN

シューティング版だとグレイズは弾幕にかすって得点を稼ぐシステムなんだけど、アクション版ではグレイズ最中は敵の弾を避けられるんですよ。で、そのシステムが無いことを後悔しろ! っていうの(笑)。

コラボを終えて

――

今回のコラボは皆さんにとってどういう経験でしたか?

Sugiyama

僕は東方とのコラボをすることで「ヤマダくん」を再認識できましたね。どうやったら「ヤマダくん」になるのかって。どうやったらオチを付けられるか、掴めるかのセオリーが、それまで自分の中でぼんやりしていた部分が、ハッキリしたんです。だから「輝針城」以降は、すごくやりやすくなった。ギャグの落しどころとか温度感とかを探るのが、いままでで一番大変だったから、なおさら掴むことができたんでしょうね。再認識というか集大成みたな感じになりました。

ZUN

コラボとかは面倒だからやらないんだけど、木村さんが面白い人だって付き合っていくうちに大体わかってきていたからね。僕にとっての同人ゲームは面白いものを作りたい、自分がやたいことをやるものなんだけど、木村さんたちはそれを商業でもやってるなって感じられた。木村さんだけじゃなくて、チームのみんな楽しみたいことをやってた。それがわかっただけですごく良かったです。

Kimura

東方コラボをやって、すごく良かったんだけどコラボの難易度というかハードルが上がってしまって、次に誰とコラボしたらいいのわからなくなっちゃった。

Sugiyama

ゲームシステム的にも新しい要素が多かったですもんね。

Kimura

今回、僕じゃない誰かが発明したキャラのセリフを書くのは、初めての経験だったんですよ。しかも女子キャラじゃないですか。おっさんキャラのセリフはイタコみたいに簡単に降りてくるんですよ。でも針妙丸みたいに僕から遠い存在のキャラのセリフを書いたのは初めてで、これを乗り越えたのは大きかったです。あと、イベント期間が終わる時「イベントが終わったからやらない」っていう人が出てきちゃうのが残念に感じたんです。でも「ヤマダくん」は、実はシステム的には誰かがダンジョンの呪文を取っておいたら、イベント終了後もプレイヤー同士でシェアできるようになってるんです。だからプレイできないってことは全くないんですけどね。でも今後、過去のコラボダンジョンを「おにぎり」と交換できるようにしようと思ってるんです。そうすれば、新規のプレイヤーでも昔のダンジョンが遊べるようになる。

――

良いお知らせですね。

ZUN

その発表がココでいいの?

Kimura

この本が出るころには、きっとオープンにして大丈夫になってると思います。

ZUN

そうすると「期間限定のコラボ」は「コラボ無料期間」ってことになるわけです。

Kimura

はい。そうなったら、呪文を取っておいた人が放出するとみんなが嬉しくなるわけです。

――

次の東方コラボはあるんですか?

Sugiyama

メカZUNさんじゃない? 一回倒されたZUNさんがメカとして復活するの。

ZUN

今度はHPが15に!

Sugiyama

マシリト的な感じで。「あの時はよくも!」って。

ZUN

ファンから「そっちじゃないんだよ!」って怒られところるまで見えるね。でもまたやるとしたら、やっぱり期待を裏切っていkないといけないんだろうとは思う。

Kimura

本当にやりかねないよね。今回コラボのために音楽をたくさん聴いたけど、やっぱり音楽がいい。で、音楽がいいとアイデアが出やすいのよ。

ZUN

それは嬉しいね。東方の曲はメロディがメインなので歌いやすいんだと思います。2次創作でもボーカルのアレンジは多いですし。

Sugiyama

ひどいんですよ。木村さんが歌詞を書いてきて、その通りに歌ったら「ブロンソンさんの一人称は“俺”じゃなかった」って。待て待て、と。

Kimura

自分で書いた時に言えよ、ってね(笑)。本当は“俺様”なんだけど、そえで収録してみたら譜面に合わないから結局元に戻しちゃった。

Sugiyama

そのために歌い直したけど、面白かった(笑)。僕はそういうの面白がれるんだけど、人によっては壊れちゃうよん。

Kimura

周りのスタッフの、タフさに助けられてるよね。

ZUN

いい意味での同人サークル感あるよね。

Sugiyama

自然とポリポリクラブの延長線みたいになってるよね。そんなことしてるとブロンソンが来て怒られるの。「こんなんじゃダメだ!」って。

Kimura

ボキューン!


霊夢&魔理沙 セリフ選集

Reimu

東方は常に一人でやってきたのね
繋がりを捨てた超越者は妖怪と
区別が付かなくなるの

人間を超えるというその夢
貴方の“夢を封印”してやるわ!

Reimu

Reimu

ここに来てもまだ諦めないのね
貴方に憑いている何かがそう
させているだとしたら……

憑き物落としのお祓いで
安らかなる休日を取り戻すがいい!

Marisa

弾幕を躱す手段が無いんだねぇ
それじゃあレーザーなんて
どうしても当たってしまうなぁ

さあグレイズを使えない事を
システム的に後悔せよ!
最大火力のマスタースパーク!

ZUN名セリフ集①

ZUN

結局さ一次創作でも二次創作でも
どっちでもいいじゃない
楽しく作ればさ

実は一次創作だって
現世をモチーフにした
二次創作なんだからさ(笑)

ZUN名セリフ集②

ZUN

ところで君は
会社からエスケープしたんだって?

でもそれってけっこう
悪くないんだよな

正直スッキリ
したんじゃない?

ヤマダくんの脱サラに乾杯

ZUN名セリフ集③

ZUN

1人でゲームを作るのと
多人数で作るのは
どっちが幸せなんだろうな?

フフフ
僕は結局好きに作るのが
幸せだとおもうよ

全てのゲームクリエイターに乾杯