Strange Creators of Outer World/Let's Look Back At SWR-Soku

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幻想神主ZUN
「緋想天」「非想天則」を振り返る

今回の特集に合わせてZUN氏に2作品を振り返ってもらった。
既刊「東方外來韋編弐」のZUN✕海原海豚対談と合わせて読むのもオススメ。

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開発の経緯からおうかがいします。

ZUN
(Z from below)

流れとしては、「萃夢想」が終わった直後に。前作のリソースを使ってアップグレード版を作りたいっていうのがあったみたいなんで、黄昏さんがもう次を作るって決めてたんですよね。さらにその時ちょうど黄昏さんが、カードゲームにハマってたので、デッキ構築要素が入ることになった。

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たしかに、以前の対談でもありましたね。

Z

ただ、僕は僕の考えがあって、「萃夢想」の時も一応考えてはいたんだけど、キャラクターの再構築をしようと。これまでのキャラに何か追加要素を加えることで、キャラの関係性を新しくしようという目標を考えていたんです。それで、それぞれに「天気」を持たせて新しい性格をつけて、これまで無かったキャラ同士のやり取りを見せたいと考えてました。だからゲーム的には天気は邪魔だったりするんですけど(笑)。

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格闘弾幕ゲームとしての完成度が上がりつつ、ZUNさん側としてみると複雑化したストーリー構成という部分はどうでしたか。

Z

ひとつは作品世界の登場人物が増えたことはあります。それから当時の、格闘ゲームにおけるストーリーの扱いとは一線を画したかった。ストーリーなんておまけ、という風潮はそこそこありましたから。実は「萃夢想」を出したら対戦するよりも一人で遊ぶ人が思ったより多くてですね(笑)。じゃあ次回作はもうちょっとちゃんとストーリーを作らないとダメだな、っていう流れもありました。

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開発の途中で大幅に変わったこととかありますか?

Z

いっぱいあったと思うんだけど、なんだろうなあ。輝夜とか永琳が登場する可能性は、僕らの話の途中でけっこうあったんだけど、ストーリー的に難しかった。追加キャラで覚えてるのは、「非想天則」のときに弱いやつを出そうっていう話をしたら黄昏さんがみんなテンション下がっちゃって。最初リグルを出そうとしたからね。

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興味深いです。

Z

数の少ないキャラクターとステージでラスボスを出す時に、誰をラスボスにするかっていうのを悩むんだけど。最初の案としては、凄い雑魚たちと輝夜がラスボスでした。雑魚たちと戦っていって最後輝夜と戦う謎のストーリーが案としてあったんですよ。その雑魚達の部分が、黄昏さん達とうまくいかなかった(笑)。完成版もそんな大げさな話じゃないですけど、小さい妖精たちの争いみたいのから始まるストーリーを想像してた。リグルに虫を使わせたかったな。

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それが無くなったから、お空が出てきた感じなんですか。

Z

イメージとしては、「緋想天」に天人の天子が出てくるし天空に向かっていくのに対して「非想天則」では地面に向かうように、対照的にしたんです。それで、じゃあここで出てくるの誰かなって考えたら、みたいな感じ。

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土着神的な奴らの話になったと。

Z

諏訪子に関しては、僕も無茶を言って。萃香の時も天子の時も無茶を言ったんですけど、萃香の時はさすがに通らなくて。天子は、だいぶ無茶を通して頑張ってくれた。だから諏訪子のときには、言うだけいってみようかなと無茶苦茶言ったから、その通りのキャラになっちゃった。方向キーを下に入れたら空中に浮かせようとか、できれば空中を泳げるようにしたいとか。

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天子にはどんな無茶言ったんですか?

Z

あれはストーリーモードで無茶を言ってて、地面に当たり判定をつけてほしいと。さらに段差がついた状態の地面でぴょんぴょん跳べるようにっていうのは、最初からそういう風に作ってないから大変だったみたい。

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あそこだけ、急に別物感が。

Z

アクションゲームっぽくなる。天子はどんどんと地面を持ち上げて、最後は宇宙までいくっていう話でした。その後で地球に落ちてくる展開もあったんですけど、その展開は「非想天則」の早苗VS諏訪子の時に披露することに。

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落ちながら戦う、なるほど。浮いてると言えば衣玖にもイメージがありますが。

Z

設定としてはふわふわしてるキャラクターなんで。それこそ空中に泳いでいるような。そしたら思った以上に雷のほうにフィーチャーしちゃって。ボスの性格とかは、特にドット絵に左右されることが多いから、面白い動きがあったら引っ張られるよね。元々そんなに細かく設定があるキャラクターじゃないから、どういう技を出すかわからない。で、みんなイメージで技を作ったりすると、それがキャラに戻ってくる。

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黄昏さんとの共同開発にも徐々に慣れてきたという感じでしょうか。

Z

共同で作っていて一番楽しいなって思うのは、自分が「依頼」して作るのは大変だけど、「向こうが作る」ってものに協力するのは凄く良い。楽しいんです。実際僕も格ゲーが作りたくて、それを黄昏さんにお願いしますってやってたら細かい部分も逐一決めなきゃいけないし、向こうも言われたことをやらなきゃいけないから不満が溜まると思うんですよ。そうじゃなく、向こうが作りたいって言ってるところに、じゃあこういうのできる? って提案していく作り方は凄く楽しいなって。

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なるほど。

Z

かといって、じゃあストーリーを軽く乗っけましょうかって訳にもいかないからね。キャラクターを決めるところから、ストーリーが始まってると思うんですね(笑)。ゲームのシステムが決まるってことは、ストーリーが決まるので結構最初に動き出すまでが長い。そこら辺が「萃夢想」の辺りではうやむやだったものが、どんどんとハッキリしてきて。最近はもう最初にラスボスを決めるかなみたいな(笑)。それが決まってないと、ストーリーがフワフワしちゃって。

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ある意味いつも通りと。

Z

結局シューティングと変わらない。東方ならではのやり方かもしれないけどね。そのゲームの全体をどこに持っていくのかっていう。そしたらまぁラスボスなんだろうなと。そういう意味では「非想天則」って特殊で、ラスボスがいないんです。ストーリー上の一応のラスボスっていうのはいるけど。そこで生まれたのが「アンノウンX」という曲。キャラクターに結びついてない、唯一のボス曲が生まれて、あれが凄い便利でね、その後もちょくちょく使っちゃう(笑)。

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とりあえず流しとくかみたいな(笑)。

Z

なんかおかしなことが起きて、しかもラスト感があるときにアレを流しておけば大丈夫。あと「緋想天」の時には確かに、ストーリーの途中で背景が変わったり、第三者が出てくることが頻繁にあったけど、あれもやりたいことの一つだったんです。「萃夢想」の戦闘の時には、その時間のその背景の場所だなんて、絵的に固定されちゃってるからストーリーに違和感が出ちゃって。話してる途中で移動したりするのは、「緋想天」で可能になった。

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ここじゃなんだから場所変えようぜって展開ありましたよね。

Z

移動したら別の人が出てきてみたいな、そういうことができることもあった。「非想天則」は確か、立ち絵で会話しないでドット絵に吹き出しを付けたんですよね。「ロマサガ風」って呼んでるんだけど。あれは僕としてはすごい楽しいんだけど、黄昏さんの作業が凄い大変で(笑)。

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なるほど「ロマサガ風」。

Z

「非想天則」っていうおよそゲームのタイトルっぽくないタイトルですよね。なんのこと言ってたんだろうみたいな、メジャー感のなさがいいですよ。

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でも長く愛されるゲームになりましたね。

Z

パッチってことはゲーム全体で見ればそれなりに制作の時間がかかっていますから。でもちょっと複雑過ぎるよね、デッキとかちょっとよくわかんない……(笑)。

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そういう意味では、これをピークに黄昏さんとの共同作品はシステムがちょっとずつシンプルな方へ向かったような。

Z

やり過ぎちゃうと凄く好きな人が出る半面、あんまり広がらなかったりするんですね。だから黄昏さんの中でも操作が簡単なほうが良い派と、もっと複雑なほうが良い派がいるようです。答えはあんまないと思うんですけどね。