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Strange Creators of Outer World/Uni Akiyama x ZUN interview

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Strange Creators Interview 02

ZUN×あきやまうに

黄昏フロンティア作品で主に音楽を担当している、あきやまうに氏を迎えての音楽対談!


「砕月」誕生秘話

――

古い話で恐縮ですが、うにさんと東方の出会いはどのようなものでした?

Uni Akiyama
(Uni below from here)

僕が所属している黄昏フロンティアがZUNさんに声をかけて一緒にゲームを作ることになったんですが、その時点ではまだプレイしたことはありませんでした。一緒に何かをやるからにはまずゲームを触らないと何もわからないですから、そこで初めて「紅魔郷」をプレイしてみたんです。で、これがまた難しくてEasyだと何とかクリアできるくらいでしたね。

ZUN

今だとクリアできるんだけど、あの頃だと情報がほとんどなかったからね。

――

Easyだと5面で咲夜に追い返されちゃいますしね。

ZUN

僕がEasyに対して否定的だったんですよね、あの時は。でも思ったより多くの人が遊んでくれて。自分はシューターというかマニアに向けて作ったつもりだったから、ビックリしました。

――

今もそうですが、「同人の同人」が出るってすごく珍しいことでした。ZUNsだんの曲に触れた最初の印象は?

Uni

最初ですかー……。ゲームを一緒に作るって決まったうえで聴くから、鑑賞よりも解析に入っていましたね。

――

最初から、楽しんで聞くものではなかったというわけですね。

ZUN

勿体無いね~。

――

ZUNさんは、うにさんの曲を……もちろん聞いたことありますよね?

ZUN

うにさんが作った曲を、僕がゲームのシーンに割り当てているんですよ。

Uni

「萃夢想」を作ってたとき、最後のギリギリになって曲が足りなくなったんです。もうちょっとあったほうがいいと言われて、じゃあシーンに合いそうなやつをと3曲ほど作って。どれか1個使われるかなと思ったら全部使われちゃいました。でもそれ、渡した段階ではラフの状態だったんですよ。

ZUN

大丈夫、ラフの状態でタイミング合わせてるから(笑)。

Uni

しかも、もう清書する時間が無いからって、そのままの状態でゲームに使われてるんですよ。

ZUN

全然それで問題ないはず。未完成だったら使わないから。

Uni

そのなかに「砕月」もありまして。

All

(笑)

ZUN

あれはやっぱり演出がよかったんだよ。イントロからすぐバーンて上がって、聴いてすぐ使おうって決めました。演出的にも、その直前までの気持ち悪い雰囲気の曲から、急に空から出て抜けるっていうインパクトを出したかったんですよね。まだ黄昏さんがこっちの言ったことを読み取れなかった時代だったから不気味な演出になってたかもしれないけど、音楽自体は上手くいったのかも。

音楽体験について

――

音楽体験についてお伺いしたいのですが。二人とも吹奏楽をやっていたと。

ZUN

中学のときに3年間やってたね。

――

トランペットを。きっかけは?

ZUN

あちこち見学に行きましたけど、小学校の6年間ずっとスキーをやってたんですが、体育会系が辛くて。

Uni

吹奏楽は文科系の中の体育会系ですよ?(笑)

ZUN

体育会系が嫌で文科系に入った結果、体育会系だった(笑)。

――

パート決めもいろいろあったと思うのですが。

ZUN

せっかくならトランペットのファーストだよと思いますよ。やりたいと思うじゃないですか? 結局セカンドだったんだけど。

All

(笑)

ZUN

でも1年で入ってセカンドをやって、次第にそれが気持ちよくなって。ファーストにあわせて吹いてる音が気持ちいいんですよね。ところどころ目立つ気持ちいいメロディーをセカンドがやるから、すごくいい。

Uni

トランペット2本使って和音で鳴らしたりするの多いですよね。

ZUN

トランペット好きだからね。

Uni

僕は逆に、チューバとホルンという、メロディーをやることが少ない楽器を演奏していました。小学校4年から高校3年まで吹奏楽でチューバをやっていました。小さいときから身体は大きかったので、自分からやりたいと思ってチューバを選んだ気がします。率先してメロディーを吹きたい、という気はなかったかなぁ。

ZUN

でもバンドやるって言いだした人間は、ボーカルやりたいって言うでしょう?

Uni

実際に演奏してわかったのですが、低音にも楽しさがあるんですよ。でもやっぱりその中でもつまらない譜面と、おもしろい譜面があるんです。

ZUN

なんにもやることがないか、ずっと同じことをやってるか、みたいな?

Uni

同じ音をずっと刻むのが気持ちいいという人もいるんですけど、僕は低音が複雑に動いてる方が好きでした。なので曲を作るときは、主に伴奏を担当する楽器にも演奏して楽しめるようにというか、主役になる部分があるようしています。メロディーの隙間に他の楽器の活躍できる場所を入れてくような感じで。でも、やりすぎるとちょっと音楽自体がわかりづらくなっちゃうんですよね(笑)。

ZUN

うるさい曲になるんですよね。

Uni

頻繁に主役になる楽器を変えると、聞き手はどの音を聴けばいいかわからなくなっちゃうので、最近はちょっとわかりやすくするよう意識しています。

ZUN

僕もそういう曲ありますよ。二つか三つが交互に入れ替わって喧嘩するようなやつ。でもそれはキャラクターに合わせてだから。

Uni

そういう場合は二面性とか、性格に合わせてですね。

ZUN

それがプリズムリバーみたいに3人みんな喧嘩したりね。でも演奏する側のことは全然考えたことがなくて、僕のゲーム。音楽をあまり演奏するものだと思ってないんですよね。吹奏楽のときは用意された譜面だったからそれでいい、でもゲームミュージックはそうでなくてもいいんですよ。聞けて派手だったらいいでしょって。

Uni

あと大学では2年までオーケストラに入っていて、そこではホルンだったんです。チューバはなかった。

ZUN

チューバが出ないの?

Uni

あんまり出番がないんですよ。特に古い楽曲だと、編成にない、必要なときは外から呼ぶんで、常に要るのだとホルンだなと。でもオケは弦がメインですから、ホルンになってからは休符ばっかり(笑)。吹奏楽のホルンとオーケストラのホルンって結構違うんですよ。吹奏楽のホルンは裏の刻みばっかりで肉体労働、あれは面白くなさそうなんですけどオーケストラでは面白いんです。裏のところでワンポイントでファーンとかやると結構かっこいい感じに。だけど休符数えるのはめんどくさい。

――

確かに。

Uni

結局メインではないんです。でもそのおかげで低音と裏の合いの手みたいなのを学んだというか。そういうのは作る上で影響がありますね。そういえばZUNさん鍵盤は?

ZUN

全然やってない。子供のとき誕生日にキーボードをもらって、それでずっと遊んでたり。あと卒業するときに小学校の足踏み式オルガンが余ってて、それをもらってきたんですよ。今でも実家にありますけど、あれで遊んでました。ああいうのがおもちゃだったんですが、おもちゃとしてずっと弾いてたから楽しいの。こういう曲ありじゃないかな、みたいなのを子供のころずっとやってたわけですよ。

Uni

僕は小学校の1年から中3年までピアノを習ってたんですよ。でも今はやらないですね。演奏は難しい。

ZUN

演奏したいわけじゃないからね。だから打ち込みやるんだし。

Uni

僕も完成形であればいいやって、自分のできないこともやれちゃうわけですし。初めてシンセサイザー(SY85)を買ってもらったのが中3ぐらいだったんですよ。そこから打ち込み式での作曲を始めました。

ZUN

僕もそうだったから、オルガンとシンセサイザーで、小学生の頃にもらったんだけど。

Uni

作曲はどれぐらいから?

ZUN

演奏してた曲は、大体自分で作ってましたから?

Uni

そのころから!?

ZUN

こういう曲ありじゃないかなって。

Uni

僕がそれをやったのは、中3ぐらいからですね。まだ録音はできなかったかな。

ZUN

録音したりっていうのはなかったけど初めてとしては「マリオペイント」の音楽があったんで。

Uni

(笑)

ZUN

あれで曲を入れてみたりとか、「デザエモン」とかでも入れてましたけど、中学生くらいかな。

Uni

それぐらいにありましたっけ? 自分の考えた曲を再生できるっていうのは、かなり感動しましたよね。

ZUN

感動しました。でもキーボードでも再生する方法があったんですよ、自分で鍵盤を押して記録させてそれで聞いてた。

Uni

自分の弾けることを再生するのはそんなに難しくないんですけど、組み合わせて複数のパートを再生できたっていうときはものすごい。

ZUN

だから僕は再生してるときに重ねて弾いてね。そういうことはしてました。

――

コーラス自分でボーカルも自分の多重録音みたいな(笑)。

ZUN

ああいうのがあって、作曲に対する敷居がすごく低かったんですよ。だから曲なんてすぐ作れると思いました。遊び感覚ですよ。

Uni

初期は僕、ちゃんと譜面にも書いてたりしましたよ。

ZUN

僕はそうしなかったですけどね。頭の中でなんとかなればいいやって。

――

聴く方だとどうですか?

Uni

大学とかその前ぐらいまではふつうにTMネットワークとか。高校ぐらいが全盛期でしたね。

ZUN

大体音楽に関してメジャーな曲は自分で弾かなくても聴けるって思ってたし、聴いてると思ってたから。今思うとその頃聴いてた曲のタイトルとか出てこないんですけどね(笑)。

Uni

大学からは友達の影響でジャズとかふゅーじょん的なやつを、なんかカフェで演奏してようなのを聴きにいったりしてました。同じ曲をやっても、その回ごとにソロとか演奏が違うみたいな。

ZUN

意識高いやつだ。

――

ZUNさんも結構ジャズお好きですよね?

ZUN

うん、ジャズは大学ぐらいのころによく聴いてましたね。

――

それは何かキッカケが?

ZUN

意識高かったんじゃない?

All

(笑)

ZUN

よくあるポップス以外の曲も聴きたいなって。で、特に僕が思ったのはゲームミュージックが好きだったんで、歌のない曲が聴きたかったのね。ジャズでももちろん歌のあるやつはあるけど、僕の聴いてたのはそうじゃなかった。

Uni

僕もそれでインストの曲中心に。

ZUN

歌が邪魔だったんですよね、なんとなく。

――

昔はボカロとかもないから、自分で制御できない部分というか。

ZUN

自分で曲を作ろうとしたら歌が邪魔だからね。

Uni

自分で歌えばできるかもしれないですけどね。

ZUN

そういうつもりはなかったなあ。

最新作=最高傑作

――

新作の「燕石博物誌」、これまで最高の出来ということでした。

ZUN

毎回言うからね、そういうこと。

Uni

1曲目キャッチーだって聞いてたんで、聴いてなるほどって。

ZUN

キャッチーでしょ?

――

入りは暗かったりする曲もあるんですけど、そのあとは軽快な感じ。

Uni

「シュレディンガーの化猫」とか、普段やる調じゃないですよね。長調というか、長調でもないけど僕はあれが一番好きでした。

ZUN

「シュレディンガー」は完全に思うがままに演奏した曲でしたね。何も考えてなかった。

Uni

ゲームのときはちょっと考える?

ZUN

かなり考える。こういう風にしようって。音楽CDは曲を先に仕上げちゃうんですよ。今までこういうことやったことないなーってことも勢いでやっちゃうから。

Uni

制限がないですからね。

ZUN

それがいい曲になるとは限らないけど、今回は割りと上手くできたと思う。

Uni

音楽CDになるとテンションというか、変な半音を使い出す。普通のときというかゲームのときはそんなに多くない気がする。指が動いちゃうとかそういう感じなんですか?

ZUN

そうですね。ゲームにも変な曲は多いんだけど使いづらいんですよ。遊んでて音楽の方ばっか気になっちゃうと、ゲームとしては邪魔になっちゃうからね。でも面白いもので、音楽単体で聴くとそういう曲の方がよかったりするんです。耳障りであればあるほどいい。

――

装飾音とかがぐっと豊かになるじゃないですか、CD版だと。

ZUN

そういうことは考えてますよ。

Uni

僕もCDだけに入れるやつはゲームで使えないようなやつにはなりますね。

――

「凍り付いた永遠の都」とかも、よくタイトル画面で流してるメロの主調が強くなってて、やっぱり4面から話が始まるんだって気持ちになったり。

ZUN

困ったときには使っちゃう。困ってるわけじゃないんだけど、のってくると入れちゃうんだよ。

Uni

テーマ的なものとして?

――

あれが東方Projectのテーマ曲的なものかと勝手に思ってるんですけど。

Uni

あのフレーズは僕もOPで使うかどうかよく迷います。「萃夢想」のときは4拍子で使おうと思ったら元がわからない感じになって、「緋想天」「非想天則」のときは3拍子でそれっぽいフレーズが入れてあった気がします。「心綺楼」が3・3・2で使ってて一番元のフレーズに近いですね。

ZUN

元のメロディーは3・3・2なんですよね。僕も、タイトルに使ってるやつはいつもアレンジだから。

Uni

3・3・3・2は嫌ですね。その原型はどの曲に当たるんですか?

ZUN

最初にそれが出てきたのが「永夜抄」。4面道中があの曲の完成版(「永夜の報い~ Imperishable Night」)。イメージを突然ステージに持ってきて、そのときに出したのが3・3・3・2なの。あれはほかに崩しがたいほど気持ちがいいし、なかなかないんですよね。ずっと3拍子でいくと、割りとのんびり行進してるイメージになるけど、1拍削るだけですごく急いでるイメージになる。

――

緊張感が出ますよね。

ZUN

そこでまた一発で3拍子に戻るのが盛り上げたかったところなの。なので4面の、急いでる場面で使ったんですよ。パンパンパン・パンパンパン・パンパンパン・パンパン! でキマる。

Uni

なるほどー……!

――

しかもそのあと出てくるのが霊夢か魔理沙っていう。

Uni

そこは演出的にすごいですよね。

ZUN

そういうことをやるために、毎回タイトル画面で同じ曲を使うみたいな。そうすると別の曲がテーマになってくるから。

Uni

そのタイトル自体はアレンジなんですよね? 3・3・3・2の。

ZUN

タイトルは、ずっと3拍子ですよ。

Uni

あとで解析してみよう。OP自体をちゃんとアレンジっていうのはしたことないんで。そこまで気にして聴いたことは無かったです。わかる構造ではありますよね。でもそういう意図だったっていうのは面白い話です。

ZUN

こうしたらああなる、と思うよりもプレイヤーを焦らせたいっていうことをテーマに生まれたから。絵を描く人だって、いちいち線画を描いてここはこう塗って光はこうって……、もちろんそうやって絵を描いていくんだけど、それよりは絵の具を取って好きに描いた方が自由に描ける気がするじゃないですか。もちろん技術も必要なんだけど。最終的にはそういう技術を掌握した後に、殴り描きで描いた方がきっと完成度は高い。音楽もね、僕はそういうものだと思うんですよ。いろいろなことを考えて作るよりは、絵の具をとって塗るかのように音楽を作りたい。だから、音楽CDを作るときだけそういうことを考えてたらいいのかもしれない。でも音楽CDだけだと発想は難しいんですよ。ゲームの中で使う曲の方が自由度上がることもある。

Uni

音楽単体というかインストは掛け算の倍率みたいなもので、単体だと力が無いですからね。0に何掛けても0のままという、ゲームとか他の演出で合わせることで、何倍もの効果を出せる。

――

あとはアレンジ……というよりはゲームパートのCDバージョンっていう方が正しいですかね。

ZUN

ちょっとだけ聴けやすくなってるし、よりよくなってますよ。ゲーム中も本来こうであってもよかったんだけど、そんな時間は無い。多分1日ぐらい手間をかければこれぐらいにはなりますよ、でもゲームの全曲に1日かけられないから。何度も聴いた結果、こうすればよかったかなというバランス調整がいっぱい入ってるので。だから時間を置かないと無理なんですよね。

――

タイトルは妖怪好き的には「石燕」の方が親しみがあるのですが、これは?

ZUN

妖怪関係ないから。確かに石燕にもちょっとかけてますけど。とるに足らないってことですよ。同人誌ってことです。下らない博物誌ということで。

Uni

タイトルについてはどれぐらい時間がかかってますか?

ZUN

超時間かかるんですよね。

Uni

ですよね!?(笑)

ZUN

全部の中で一番かかる。音楽CD作るぞって決めてから、何週間もタイトルのことしか考えてないから。うにさんは、どうでした今回のCD。

Uni

唐突に(笑)。僕はさっきも挙げた「シュレディンガーの化猫」が面白かった。普通のキャッチーなよく聴く感じを混ぜたっていう感じでしたね。

ZUN

今回の中では一番最後に作ったのがその曲でしたね。

Uni

すごく細かいところを言うと、メロが複雑になってて、一部だけちゃんとユニゾンになってるところがかっこよく決めてあるなって。

ZUN

あれは僕のクセだね。最後で盛り上げるところでめんどくさくなるんです。

Uni

音は和音にして増やすよりも、同じ音を重ねた方が目立ちますからね。

深秘録の音楽

ZUN

「深秘録」のアレンジに関してはすごく豪華でしたよね。作ってる人が自分のクセを出すほどでもなく、でも他の人には負けないちゃんとした曲に仕上がってる。

Uni

みんなすっごく主張してましたよ。

ZUN

俺が最高の曲だ! っていうぐらいのやりかたで、結果いい曲がたくさんできて。でも、いい曲って盛り上がる曲だからいい曲というわけじゃないんです。だけどゲームだからみんな盛り上がる曲をガンと出してくるところが凄かった。

Uni

これにストーリー入れていくとずっと盛り上がったまんまなんですよ(笑)。

ZUN

一発目というか一オチというか、その曲だけでもゲームが完成しているみたいな曲をみんな作ってきたからおもしろかったかな。全部の曲をこの人にお任せしましょうってなると、きっとこういう曲にはならない。こういうやり方は競争させてるからいいかもしれない。

――

うにさんが担当した対戦用の曲はどうだったんですか?

Uni

僕はすごいよくできた。

ZUN

うにさんがアレンジすると、普段はゲームでは使わないような曲にしちゃうので。

Uni

アレンジするときは何か既存のジャンルっぽい感じにしています。ZUNさんっぽくするとそれは原曲でいいという話になりますから。

ZUN

そうなんだけどね。でも他の人のアレンジも全然原曲に寄せてないじゃん? 強いて言えばみんなハードロックみたいな。

Uni

今回ハードロックが多いですよね。なので深秘録ではギターを使わなかったんですよ。普段はそこそこ使うんですけど。僕も一緒にやればよかったかな。

ZUN

勝負してみるのもありですよ。

Uni

元の曲というか元がアレンジだからすごく扱いづらかったんですよ。低音で刻んでいるフレーズは絶対に入れなくちゃいけないという強力な縛りがあったから。で、結構悩んでそのフレーズをプラスにしました。

ZUN

どの曲?

Uni

「輝く針の小人族」。低音でデッ、デデーって。その部分をトランペットとトロンボーンのブラスで高音に配置しました。一曲丸々作り直してるぐらい頑張って作りました。没ジャージョンも存在するんですが、そっちは暗くてギターとか結構使ってた気がします。やっぱり作り直してよかった。

ZUN

好みがあるからね。それがうにさんの味と言えば味だから。

Uni

最後にZUNさんの曲があるわけじゃないですか。その前でバリバリ盛り上げちゃったらだめなんですよ。

ZUN

上げすぎると、その次に上がったかどうかわかんなくなっちゃうからね。

Uni

そういうクセは付いちゃってるかもしれないですね。

ZUN

ラスボス以上の曲はやれないからね。ちなみに他にアレンジしてる人はみんなラスボスクラス。

Uni

そうそう(笑)。それなんですよ。

ZUN

だからストーリーはおとなしいなと思ったら対戦すると超激しいわけよこのゲーム。それは「深秘録」の特徴かもしれない。元々ラスボスの曲をアレンジしてるからしょうがないですよね。むしろよかった点として挙げたい。

Uni

僕は一回アレンジをしちゃったから、他の人に頼んだんですよ。二回同じ用途のアレンジを作るのはさすがに辛い。方向性を変えるんだったら全然やれるんですけど。だからみんなに頼もうってなった結果がこれです。

ZUN

よかったですよ。面白かった

Uni

ありがとうございます。PS4でも追加の曲を、ビートまりおさんが頑張って書いてくれると思います。

作曲について

――

一応クリエイター対談なんで聞くんですが、作曲やるときにまず最初にやるべきことってなんですか。

ZUN

ゲームを作ってみればいいんですよ。そこに流してみればいい。

Uni

ゲームに合うようなものを。

ZUN

音楽なんて自由だからね。頭の中で思い浮かぶわけですよ。そこを形にするのは若干技術が必要なだけで、それは努力すればいいかなと。思い浮かばないんだったら、思い浮かぶような勉強をしなきゃダメだと思う。発想力が足りないんだよ。

Uni

再現するのにもなかなか手間というか、初期段階では難しいですけど。

ZUN

頭の中のものを思い通りに出すのって結構難しいんですよね。僕もいまだにできない。例えば絵だって、見えたまま描ける能力があるんだったら、写真がいくらでも描けるってことですよ。でもそれはできないわけで。

Uni

読めるけど書けない漢字とか。

ZUN

そうそう。

――

それは言いすぎでは(笑)。

ZUN

頭に思い浮かぶんだけど、「あれ、ここどうだっけ」みたいな。何も思い浮かんでないのに勉強したって何も作れないですよ。どうやって思い浮かぶかって部分は、いろんなものを見るしかないんじゃない?

Uni

最初ってみなさんはどうだったかわかんないですけど、こういうのを見たり聞いたりしたからこういうのを作ってみたい、自分でも作ってみたいっていって作るって感じじゃないんですか。

ZUN

そうだろうね。全く何も無くて作るってことはないでしょうし。

Uni

それがたくさん混ざっていって、自分のものになっていくみたいな。

ZUN

だからいろんなもの見なきゃダメだろうね。

Uni

でも見てるだけだったらできないんですよ。良いと思った物を自分の手で再現しようとして一つの作品を作る、っていうのを繰り返すことで、いろいろな技術とかを吸収していく。今だと「自分だったらこうする」みたいな感じで、蓄積したものから引き出して作っていくんだけど、それができるようになるのは、ある程度自分の技術とか方向性がはっきりしてからでしょう。物を作る最初の段階は、自分が良いと感じた物に似たオリジナルの物を作る、という感じですかね。

ZUN

僕は自然に生まれたのね、それが。どちらかというとそれの部分に関してはこういう曲があったから真似したというのは一切なく、クセの部分は完全に自分のオリジナル部分がある。たとえば今回ジャズっぽい曲にしてみようかなって思ったとしても、結局いつも通りのものができるかもしれない。

Uni

そういう部分の方が強いんですよね、結局。

ZUN

石鹸屋さんが言ってたけど、最初のころアレンジしてたときは比較的アレンジしやすかったんだけど、今東方の曲が出てくると、音を変えちゃうと違う曲になっちゃうって。

Uni

みんな言いますねそれ。前回アレンジした人たちもそう言ってました。

ZUN

この曲はこの音じゃないといけないんじゃないかって思っちゃうって言ってて、僕としてはもう曲が完成に近づいてきてるなと思う。

Uni

メロディーだけが強い曲だったら、そこだけアレンジすればいいんですけど、メロディー以外の大事な部分が結構多いですよね。

ZUN

ある音が他のメロディーに影響してる、というのが出てきちゃって、でも僕はそういう風に作るようになってきたの、どちらかというと。

Uni

繰り返しになっちゃうんですけど、「小人族」はそういう状態だったんですよ。でもそこを解決することができたので、「俺すげえ!」って思えた(笑)。

ZUN

もともとほら、あのリズムを推さなきゃいけないと思う。あれが売りだからね。

Uni

他のアレンジしてる人で、比較してみたら面白いかもしれないですね。

ZUN

あの「チャッ・チャチャ・チャッチャ・チャチャ」でほぼ完成だから。

Uni

アレずるいんですよ。あのリズムの部分を入れつつ他の部分をどうやってアレンジするんだ? みたいな。

ZUN

アレはメロディーじゃないんだけど、曲としてはあそこの方が重要。

――

ということで話は尽きないのですが。CD用にどんな曲を作りましょう。うにさんはやっぱり「永夜の報い」を?

Uni

ちゃんと拍子を意識して作ります。今までずっと3・3・2だと思ってて、3・3・3・2だったと今日気付きました。びっくりです。

ZUN

あれをメインにするっていうのはね、勇気いる。たいしたメロディーじゃないからさ。

――

ZUNさんはどうしましょう。

ZUN

いやー、うにさんがいるんだったらあれでしょう。「深秘録」か何かのうにさんの曲をアレンジ……できないよね、僕の曲入れるしかないでしょう。そもそも僕はアレンジする能力ないので。