ZUN's Gensou Denshou Lecture

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This is the transcript of Gensou Denshou ~Soukaku no Keishou to Shuuchaku~ (幻想伝承 ~創作の継承と終着~), held at Hitotsubashi University on 3 November 2007 from 14:00 to 16:00.

Part 1 (Touhou Project)[edit]

1、前半戦(東方Projectとシリーズ)

ZUN氏入場(BGM:童祭)

Moderator

本日はよろしくお願いします

ZUN

はい。よろしくお願いしま~す。・・・なんか物凄い緊張してるね。(笑)

Moderator

いや、すいません。頑張ります。・・・それでは会場の皆様にご挨拶をお願いします

<ZUN頷いて、正面方面を見る。>

ZUN

ご紹介に与りました、上海アリス幻樂団のZUNです。・・・多分神主の方が通りはいいのかな(笑)。一橋大学来たのは初めてなんですけど、こういう場所を設けてもらって凄くありがたいと思っています。今日は2時間という短い時間ですが、その間に色んな楽しい事を話せたらイイと思っているので、気楽に楽しんでくれたらいいかなと思っています。

Moderator

ありがとうございます。

【質問1:風神録の制作に二年間を要したのは何故?】

Moderator

それでは早速、前半のテーマにうつりたいと思います。前半のテーマは「東方Projectとシリーズです。ええと、風神録のほうは・・・そうですね、制作まで二年間かかっているのですが・・・

ZUN

(多少苦笑気味に)だから緊張しすぎたって(笑)

そうですね、9作目の花映塚の後に、もう一回作るかどうかを少し悩んでいて、花映塚の後一年の休憩を挟んだんですよ。で、その間に東方をやっている人が減ったら、むしろ(新作を)作ろうと思っていたんですよ。ところが、一年経って人が経るどころかむしろ増えていて、結局作りました。結局少なくなっても、増えていても作るってことだったんだけど(笑)

(会場微笑)

細かいエピソードとかはいくらでもあるんだけど、風神録を作った一番大きな理由はそんな感じかな。

Moderator

花映塚の時点で一回打ち切ることを考えておられた?

ZUN

いや、打ち切るって言い方はちょっと変なんだけど、とりあえずちょっと休もうかな~って。

【質問2:「信仰」について】

Moderator

風神録では「信仰」という言葉が重要なキーワードになっていますが・・・

ZUN

うん、ゲームで、特に東方とかそうなんですけど、凄く好きな人が一杯集まってくると、物凄く「信者」としてなじられますよね。だからそれを逆手にとって、信仰する事をテーマにしようと(笑)。いや、信じる事ってそんなに悪い事じゃないじゃない?

【質問3:風神録の「舞台」について】

Moderator

今回の舞台は「諏訪神社」だといわれていますが、何故諏訪神社を選んだのでしょうか?

ZUN

まあ、諏訪は地元だからね。だから昔から(諏訪神社は)知っていたんだけど、諏訪の神話って結構面白いものが多くて、子供の頃は当たり前のように知っていたんだけど、こっちに来てからそういう話を全然聞かなくなったし、周りの人も知らない人が多くてね。だからゲームにするにはもってこいで(笑)ちょっとマイナーで、でもマイナーって訳じゃないし。実際御諏訪様とか、こんなに日本に神社多いのに意外とみんな知らないですよね。

今作「風神録」は特に、元のネタを知らないと良く分からない上に、ネタを元に僕が考察したものも一杯入っているんで、実際の歴史とはちょっと違ったりするんです。でもきっとそっち(実際の歴史)が正しいと思うんで(笑)

Moderator

それでは会場の皆様に聞いてみましょう。諏訪神話についてご存知という方、ちょっと手を上げてみてもらえますか? (会場内2割ぐらいが挙手)

Moderator

なるほど。

ZUN

でもね、諏訪神社って日本の中でもかなり分社が多いんですよ。一番多いのはお稲荷さん(稲荷神社)ですけど、諏訪神社も全国に物凄い数あるんですよ。探せばそこらじゅうにありますから、試しに行ってみるといいですよ。まあ、祭ると雨が降るって言われているんで、今日みたいな日はやめたほうがいいかもしれないですけど(笑)

Moderator

諏訪神社といえば「御柱祭」など、色々お祭もありますが、実際いかれたことはあるのでしょうか?

ZUN

御柱って七年に一度だから・・・もうすぐかな?七年に一度って言うと中々行く機会がなくて、実際見に行った事はないんですけど、毎回死者が出るっていう(笑)

Moderator

確か三年後とかだったと思いますが。

ZUN

まあ、そのときにはまた諏訪オフ会でもやって・・・そういうことすると、また地元の人に嫌がられるんですよ。(笑)

Moderator

巡礼っていうことで(笑)

ZUN

あんまり派手なことしちゃいけないよ?絵馬に「来た」とか書いちゃダメだよ(笑)そういう事すると肩身狭い思いをすることになる(笑)

(会場爆笑)

Moderator

次回作のほうにも影響が・・・

ZUN

下手に実際の神社使ったらやばい事になるかもしれない(笑)

【質問4:東方はシリーズではない?】

Moderator

それでは少し話題を変えさせていただきます。ZUNさんは以前東方はシリーズではないと発言されていますが、その真意をお聞かせいただけますか?

ZUN

昔からシリーズ化って言うとイメージが良くなくって、金儲けのイメージが定着していたから、それを避けたっていうのはあります。でも一応理由もありますよ?基本的に(東方は)世界観だけ持ってきていて、システムからストーリーからキャラクターから全部ばらばらなんですよ。だからわざわざ2とかにする必要がないってのと、ゲーム以外のメディアミックス作品、例えば小説や漫画まで一つの作品として扱うとしたら、シリーズにしにくいじゃないですか。あの作品は第何代なのかって(笑)だからあえて「シリーズじゃない」って言って言い方をしています。

・・・まあ、シリーズですけどね。

(会場爆笑)

【質問5:メディアミックス作品について】

Moderator

メディアミックスの話が出てきましたが、音楽CDはどのような扱いになるのでしょうか?

ZUN

音楽CDは音楽CDで一つの作品のつもりなんですよ。まあ、売られるときは「サントラ」ってかいてますけど(笑)、作るときは東方の一つの作品のつもりで、同じ世界観で作っています。アレも当方の作品の一つってことにすると、ますますシリーズって言いにくくなるじゃないですか。だから前言った「Project」って名前にしているわけですよ。

Moderator

(東方Projectという枠の中に)それぞれがバラバラに存在すると。

ZUN

そうそう。

Moderator

漫画や小説などのメディアミックス作品も東方Projectの一部ということですが、メディアミックスを行う上で気をつけていることはありますか?

ZUN

やっぱり音楽CDにしろ漫画にしろ、その媒体を活かさないといけないじゃないですか?ゲームのストーリーをそのまんま漫画にするんじゃ基本的に面白くないので、漫画なら漫画のよさを生かした作品を作らないといけない。だから漫画はゲームのコミカライズ・・・みたいな感覚じゃないです。音楽CDも一緒で、ゲームの音楽CDを出しているんじゃない。アレ単体でなんか面白い事が出来ないかなーと思って作っています。

Moderator

アニメ化の話もあったとお聞きしましたが。

ZUN

あんまり話しすぎると良くないのかもしれないですが、アニメ化の話は結構良くいただくんですよ。みんな飢えてるんだなぁーって(笑)最近ちょっと有名になったものってみんなアニメ化するじゃないですか?

アニメに凄くネタが枯渇しているんだろうなぁって言うのは分かるんですけど、さっきのスタンスで言うと、アニメを生かしたような作品を作らないといけない。そうすると、オリジナルのストーリーを作って、脚本書いて、オリジナルのキャラを出すならそれをデザインして・・・ということが必要になるんですが、多分時間が取れないです。それが出来ない以上アニメ化はできないんで、お断りしているということです。

Moderator

労力の面で手が回らないということですか。

ZUN

回らないね。さっきの話に戻るけど、僕は元の作品を漫画にした事はないんです。元とは違ったタイトルをつけて、新しい主人公、シナリオを用意する。そうする事で作品が生きるということもあるんだけど、版権の問題もあるんです。例えば紅魔郷でアニメを出しました・・・みたいなことになると、ゲームの方の自由が利かなくなる可能性がある。

だから完全に別のタイトルということにしてしまって、別の作品の版権は出版者様が持っています・・・みたいな形にするわけです。そうすると元の作品は僕が好きにできる。そういう考え方でやっているんですけど、アニメってそれがやりにくいなって。一人でアニメが作れるだけの能力があればいいんですけどね、誰かさんみたいに(笑)。中々そんな時間もないですし。

Moderator

最近ではコミックや小説も手がけていらっしゃいますよね。

ZUN

漫画にしろ小説にしろ、僕の方からやりたいって言ってるんじゃなくて、「こういうものをやりませんか?」って持ちかけられて、うっかり乗っちゃうんですよ(笑)。時間があるからやろうって思って、それで今苦しめられてるんですよ(笑)。

Moderator

風神録でキャラクターを刷新した一方で、儚月抄(ぼうげつしょう)は永夜抄の続きをかいていらっしゃいますが、それは何故でしょうか。

ZUN

うーんとね、どこまで細かい事まで言えるか分からないけど、儚月抄自体の企画が結構風神録でる前の話で、その段階で風神禄の内容知っているのは僕しかいないじゃないですか?だから風神録の後の話を書くわけにはいかなかったっていうのが一つ。もう一つは全く新しい話を書くと世界の説明から入らないといけないじゃないですか?まず巫女さんが何でこんな事をしているのかって説明するのをかっ飛ばすには、前の普及した常識を使っていくほうがいいっていうのもあります。実際そちらの方が面白いと思いますしね。

Moderator

単行本を作る際に、音楽CDをつけるのはこだわりですか?

ZUN

あれは多分出版社のこだわりですよ。僕は別になくてもイイのかなって思ってはいるんですが、無理矢理作らされることになる(笑)。結構大変なんですよ。一々曲書かないといけないし(笑)。出した本全部についていたから、うちも・・・ってことなんだろうけど、ゲームなら画面に合わせて曲書けばいいけど、漫画とか小説だとどういう曲かいていいのか、結構悩むよ。(笑)

Moderator

収録曲は単行本に出てくる登場キャラクターのテーマが中心ですね。

ZUN

テーマになりそうなのはそれしかないからね?(笑)ゲームに出てないようなキャラだと曲もないですから、そういう理由で丸め込まれて作らされるんですよ(笑)。まあ、いいと思いますよ。楽しいですし。

Moderator

全く新しい事をやってみる、という点で楽しんでいる節もある?

ZUN

引き受けるときは楽しいんですけど、やってみると結構大変で(笑)。うっかり安請け合いしちゃったな、みたいな。

Moderator

まだ扱った事のない媒体でこんな事をしてみたい・・・という考えはありますか?

ZUN

そうだね~、今はゲームがメインだから、新しいなにかに出したいって言うのはあんまりないんだよね。でも、別にゲームならDSとかでなんか出してみたいってのは思わないでもないんだよね(笑)。下のほうのタッチスクリーンにいる霊夢になんか・・・とか。

<会場爆笑>

まあ、それはおいとくとしても(笑)、やっぱりゲームなんだよ。コンピューターゲームじゃなくても面白そうだし。カードゲームとか・・・誰が絵を書くのかっていうのはあるけど(笑)。

Moderator

:他のものに挑戦するにしても、やっぱりゲームを作りたいと。

ZUN

時間無いけどね。STGがやっぱり一番作りたいし、STG作ってるとそれだけで精一杯なんで。一つのゲームを作るのに約一年で、そのうち凄く働いているのは半年もないのかもしれないけど、それでも結構一年が短いですよ。のほほーんってしていると、あっという間に正月になって、例大祭だな・・・ああ、もう夏コミ締め切りが見たいな感じで、すぐ一杯一杯になっちゃう。

【質問6:新作を作るにあたり、前作から引き継ぐ要素、変える要素は?】

Moderator

東方の新作を作るにあたって、前作から引き継いでいる要素、あるいは意図的に変えている要素はありますか?

ZUN

さっきの話と被るかもしれないけど、ゲームの・・・いや、ゲームに限らず全ての作品の根底にあるのは世界観だと思っているので、その部分ははじめに作ります。で、その上にストーリーだとかシステムだとかキャラクターゲームを載せるんだけど、そこがゲームの肝だから、そこだけ変える事で新しいゲームができる。世界観を毎回変えるのは想像以上に労力が大きいんですよ。毎回新しい世界観と物理法則を作ってだと、ついてくるほうも大変だし、基本的に大作になってしまう。だから世界観は根底に決めておいたものを置いてある。それで労力を省いているんですが、ゲームを遊んでいて面白いのはゲーム性とかの部分なんで、そこは毎回変えていくわけです。

Moderator

風神録においてもそうだった

ZUN

勿論。風神禄って刷新した刷新したといっているけど、そんなに刷新してないよね(笑)。キャラクターも世界も今までと何も変わってない。強いて言えば、紅魔郷からは季節感を大事にしていたんですけど、今回はそうでもないんです。別にアレは季節が秋じゃなくてもいい。人間関係もちょっと変わって、神様だからこういう現象?がある・・・みたいな事を重視して作ったんです。多分これから先もしばらく似たような作品を作っていくんじゃないかと(笑)

Moderator

季節の話が出ましたが、冬の作品っていうのは出ないのでしょうか?

ZUN

冬っていうと雪だよね?背景明るいと弾が凄く見難いじゃない?(笑)見た目華やかなのが春で、逆にさわやかなのが夏だよね?秋も物悲しくていいと思うんですよ。曲も秋ならイイのが作れると思うし。冬ねえ?

冬は建物の中とかになっちゃいそうで、それはそれで地味だよなって。後冬コミでゲーム出すって事もあんまりやってないしね。冬コミでゲーム出してたら冬で作ったかもしれないけどね。結構ゲーム的な理由でストーリーが決まる事もあります。

Moderator

世界観を引き継いでシステム等を変えるという話でしたが、新システムを作るにあたり東方Project以外で新しく作品を作ろうと思ったことはありますか?

ZUN

勿論。何度もそう思うんですけど、多分そんなに変わったものが出来ないんじゃないかな?東方が持っている世界観っていうのが、僕の持っている世界観とあまり変わらないので、新しく世界観を作ってみても殆ど変わらないと思う。精々変わるとしたら出てくるキャラクターぐらいじゃない?だからわざわざ新しいものを作る理由があまりなくてね。

今東方を作るのに精一杯で、東方を作るのが楽しいですし、こんなにプレイしてくれる人もいるわけですし、中々新しいものを作る理由がないですね。全く新しいゲームシステムを作るにしても、東方の上に乗せる事はできるので。

Moderator

その一つの例が文化帖であったり?

ZUN

そうそう。ああいう実験的なことも東方の上で成り立つし。わざわざ新しい世界観を作らなくてもイイのかなって。後、日本好きだしね。日本人だし。

【質問7?:雑談】

Moderator

ええと、それでは次に・・・ええと・・・ちょっと悩んでしまいますね

ZUN

関係ない話をしていいなら、今日普通に飲まず喰わずで来て、いきなりビール飲んで、お好み焼き食べたら、お好み焼きのキャベツが生っぽくてねって話をし始めますが・・・

(会場爆笑)

Moderator

お好み焼きをシリーズ化するとどうなるか?とか

ZUN

結構ね、ゲーム作っていて困ってくるとみんな食べ物に例えはじめるんです。本能に近いところにあたまがいってしまうのです。これをラーメンに例えると・・・とか(笑)。そういう風になったときが一番やばい時でもあるし、逆に一番突拍子もないものが思いつくときでもあるんでね。

Moderator

後から思い出すと結構参考になる?

ZUN

いや、後からみるとすぐ破り捨てたくなるようなものが多いですよ。これはないなって(笑)。ちょっと悪乗りしすぎたって。

でもちょっと前までのゲームだとね、結構突拍子もないゲームがでてたんですよ。居酒屋で考えたようなやつ(笑)。みんなそれを「居酒屋企画」って呼んでいたんですけど、ファミ通とかみて「良くこんなのが企画になったなぁ」みたいなのがぽろぽろあったんですね。まあ、当然売れなかったりしたし、面白くなかったんですけど、ああいうのが結構好きだったんですね。

最近はみんなガチガチになってきてね、売れるものは売れるものとして出されてるって思うんですよ。ブランドのイメージもあるんだけど、真面目なゲームが売れる時代になってるんですよね。

たまにセ○とかおかしな事していたんですけど、まあアレは愛すべき馬鹿なんなんですよ。そういう馬鹿な事は同人ゲームなら出来るんですよ。

・・・まあ、最近同人ゲームも真面目に作らないと売れないっていうか、馬鹿にされる風潮があるんですけどね。変なのばっかり作っていると人が付いてこないっていう。その風潮が個人的にはあんまり好きじゃなくてね。同人ゲームはせめて売れなくても馬鹿な居酒屋企画でも出して欲しいってね。

それが出来ない理由って言うのもあって、今はユーザーとの距離が凄く近いんですよ。出したゲームを遊んでいない人からも批判受けるわけです。それを気にさえしなければね。ニコニコとかに上げられている奴は凄いぼろくそにいわれていることがあるんですけど、ぼろくそに言われているのは実はいいことなんですよ。本当に興味がないと誰も何も書かないですからね。自作自演するしか無くなっちゃう。

ただ、もしこの中に作品作っている人がいるんだったら、批判って言うのは聞かないほうがいいんだろうな。真摯に受け止めるって言うのが一番良いんだろうけど、それやりすぎるとストレス溜まって、最後までいけないだろうな。アラを見つけて文句ばっかり言う人もいるけど、文句言われるのは愛されている証拠なんだぐらいに思っておけばいいですよ。

Moderator

突拍子も無い挑戦的な作品というと、レトロゲームでよくありますね。

ZUN

ファミコンはね、挑戦というよりは黎明期だったので、定番というものがなかったんですよ。作った本人が定番だと思ったものがとんでもない作品だったり。それは挑戦というよりは自由だったんですよ。それがスーファミぐらいになると定番といわれる作品が出て来る。今でも続いているシリーズって大体スーファミの頃には出てきたじゃないですか?あのままいくと任天ど・・・、いやN社しか儲からないんで、○ニーが「うちならもっと自由なものが作れるよ?」ってPSを出したら自由に作りすぎちゃってとんでもない作品がでてきたんですが、アレはいい風潮だったんですよ。

同人ゲームなんてもっと自由ですよね?企画を通すかどうかなんて自分で決めればいいだけですし。そういう意味では同人ゲームを商業化するって言うのはあんまり正しいプロセスじゃないんだろうな。商業とは基本的に考え方が違うんで。

Moderator

そういう意味では「同人から商業」という流れはあまり好ましくない?

ZUN

いやいいんですけどね(笑)そういうところ一杯あるので言いにくいんですけど(笑)。プロになりたいから同人からっていう人は一杯いるだろうし、そういうのも自由なんです。どういう道を通ってもいい。勿論意図したものと違ったのなら問題でしょうけど、そういうことも少ないだろうし。やった念願の・・・って感じですよ。だからそれを止める理由もない。僕はやらない派だって話です。逆にいえば商業でやりたいって人は、同人からはじめると逆に遠回りになるかもしれないんで、プロになりたいなら初めからプロを目指した方がいいなって。

Moderator

同人は商業とは別の物だと

ZUN

まあ、そんなに大層なものではないかもしれないけど、そもそも同人って言うのは商業の寄生虫・・・というかコバンザメ的な存在なんで、それが大きくなりすぎてる。だからこれから同人のスタンスを明確にしていかないといけない。商業と同人の境界をはっきりさせないと、どっかで同人が損するだろうし、遊ぶ人も絶対損すると思いますよね。入り混じりすぎると。

Moderator

まとめに入りたいと思います。元々のテーマは東方Projectとシリーズだったのですが・・・

ZUN

何もはなしてないっけ?(笑)じゃあ、東方とシリーズだけだと分かりにくいんで、世にでているシリーズと比較していくといいですよ。今のシリーズって1からやっている人って殆どいないじゃないですか?逆に1からやっている人はもうそのゲームを遊んでいないぐらい、一つ一つが長くなってる。あそこまで行くとシリーズ化する理由って一つしかなくって、上司を説得するためなんですよ。あるいは関係ないオリジナル企画だったんだけど、これをつけろって言われた。特にシリーズで一杯出しているあのおっきな会社とか。

Moderator

S社とか

ZUN

FFとか、もうFFじゃないだろうって。アレもブランドを大切にしているのかどうか微妙な所だよね?なんかアクションであろうが、シミュレーションであろうがつけるし、世界観も統一してないし、アニメだったりポリゴンだったり、ああなっちゃうと多分手遅れかなと(笑)。

むしろドラクエは成功している方です。ドラクエの方がブランドを大切にしている感じです。ドラクエってつけたからにはちゃんとドラクエにして、細かい身にゲームとか出すときはFFってつけとこうみたいなものが見えてくるかなって。でもFFもネットゲーで稼いだから。

マリオとかもでてきたばっかりですけど、その名前をつける意味って安心感なんですよ。誰もファミコンの頃のマリオの遊び方ができるなんて思ってない。見た目も違うし、3Dだし、だから今より昔の方が良かったって言うのは大間違い。今と昔は違うんだし。その時シリーズ化が邪魔になることってあるんですよ。分かっていて仕方なくシリーズ化をすることが最近では多いですよね?それはあんまり良くない風潮だと思うんで、どうにかしてほしいところではあるんですが・・・。

Moderator

一方でオリジナルタイトルを要望する人も多いと思いますが?

ZUN

多いですよ。けど、最近はみんなそれを持て囃さないですよ。オリジナルタイトルで出したときに何が重要かっていうと、会社と作っている開発陣のメンバーとか。誰が曲作っているとか、むしろみんなそこで選んじゃうんですよ。オリジナルタイトルもそこが肝で・・・それってシリーズ化と何も変わらないですよ。

買って遊んで判断して・・・ということはまず殆どの人がしてないですよ?まあ、理由は色々あるんでしょうけどね。高いとか、多すぎるとか。商業は売ることがメインですから、それも踏まえて色んな所から開発陣とか持ってくるんです。あんまりにも人気がありすぎるとあざといから、ちょっと人気がでそうな人を連れてくるとか。まあ、実際そういうゲームは面白いんですけど、そうじゃなくて浮かばれないゲームって一杯あってね。

同人ゲームはネットで配る場合が多いですし、口コミで広がる場合が多いんですよ。アレは僕の中ではいい風潮ですよ。見た事もないような人が作っているようなものを遊んで、面白いと思った人が広めていく。開発者にとって居心地がいい場所なんです。

同人はあえてシリーズ化に頼らなくても良いんですよ。

Moderator

あえて引き継がなくてもいいのが同人の良さであると?

ZUN

いや、商業も引き継いではいないんですよ。引き継がないで名前だけもってきているのが多いから、アレはブランドになっちゃっていて意味がない。東方みたいに前に出したキャラクターを使って何回もゲームを作る事で、物凄い広がりが出るんですよ。本当のシリーズはそれが一番いいんですよ。そうすると完全版とか言う名前つけて出すことになるんだと思うけど。東方自体、一つの話では完結しない。伏線とかも回収しないで終わるわけですし。それって普通の商業で出したら怒られると思うんですよね。説明が不親切すぎるって。いきなり巫女さんが出て来て、変な敵倒して、得体も知れない会話しているわけですからね、それは怒られますよね。まず発売する前に会社に怒られて、ゲーム雑誌とかにも怒られて、ユーザーにも怒られる。でもそれが東方は許されているって言うのがね?許しているのは僕じゃないですが

Moderator

(混乱中)東方Projectを作る時点ではお止めになられたということですけど、今のコンソールというものを想定していたのは…いや、コンソールというか、画面のイメージというのはそのことから止まって、その頃からこうゲームについてこう・・・あれ?

ZUN

頑張れ!

Moderator

(悩んだ末に)東方のデザインは、参考とか無しに御自身で一から練り上げたのでしょうか?

ZUN

そんなことはないです。僕は本当のオリジナルなんて殆ど存在しないと思っているんで、見よう見真似で好きなものを作ってみるんですよ。で、そこから新しいものを考えてみるんですが、大切なのは見よう見真似で作ったものを尊重する事です。それを尊重さえすれば、いくらでも見よう見真似でいい。前から東方自体を二次創作だ二次創作だって言っているんですが、自分の好きなものをてんこもりで入れていって、自分の気に入ったものを参考にして行く。ことあるごとに「あれを参考にあれを参考にして」って言っていますが、もっと尊重して欲しいですよね。

【中休み】

折角なんだから「ビールを飲みながら」話してもらいたい・・・ということで、買ってきましたビール。

缶ビールは一気には飲めない・・・らしいです。

Part 2 (Game Creation and Questions)[edit]

2、後半戦(ゲーム制作とシリーズ/質疑応答)

【質問8:商業的な理由以外での、シリーズを作る意義】

Moderator

それではこれからもう1時間よろしくお願いします。後半のテーマはゲーム制作とシリーズについてです。先ほどもお話いただきましたが、商業的な理由以外に製作者がシリーズを作る意義とはいかなるものなのでしょうか?

ZUN

データを流用できるって意義は、商業的じゃなくても当然あるわけですよ。データを一から作り直してユーザーが楽しいかって問題もあるからね。必要最低限のものを使いまわせる定義は凄く大きいです。(データの)制作に必要な時間が減って、その分実際面白くなる部分に力を入れられるわけですから。だから全く新しいものを延々と作りつづけていくと、無駄は大きいですよね。(基本的な部分を)作るのにかけた労力が、ゲームの方に回せないので。

他にも当然理由はあるんですよ。シリーズって同じようなものを何回も作っていくから、一つ一つが深くなっていくんですよね。ユーザーにも一から説明しないといけないってところを省けると、凄く大きな世界のちっちゃい所だけみせていく事ができるじゃないですか?特に僕みたいに同人の世界でひとりで作っていると、東方のイメージと僕のイメージが結びつくんですよ。この人はいつもこんなの作って・・・みたいなイメージができるのが、僕はいいと思うんですよ。一人でRPG作ってみたり、SLG作ってみたりする必要は、僕はないんじゃないかと思うんですよ。

Moderator

何度も作っていく事で洗練されていく?

ZUN

何度も作っていく事で、自分にしか見えない欠点が見えてきますから、作り直していくたびに当然深くなっていきます。シリーズを続けていくと、前の方が良かったっていう人が必ず出てくると思うんですけど、開発者的には前の方が良かったってこと無くて、絶対新しい物の方がいいんですよ。開発者がもっと突き詰めたいと思っているものを、(一回で終わらせないで、何回も作ることで)突き詰める事ができる。それがシリーズのいい点だと思いますね。

【質問9:シリーズは完結すべき?】

Moderator

シリーズは完結を目指すべきなのでしょうか?

ZUN

本来は一つの作品は完結していると気持のイイもので、例えばエンディングまでみて、全てがそこで完結すると、ああすっきりした、いい作品だったって事になるんだけど、一度シリーズにしちゃうと結構完結にしにくいんですよ。また次も次もって話になりますよね。私も完結させる必要はないと思っています。

本当は完結させるとその作品はいい作品だったってことで残るんですけど、別に残らなくてもいいじゃないですか?どうせならトコトンまで突き詰めていった方が未来もありますし、何となく夢もあるじゃないですか。昔は良かったとか言い出すのも嫌ですからね(笑)

東方が終わるとしたら、僕が死ぬ時・・・かどうかは分からないですが、多分明示的に終わらせないでしょうね。作らなくなる事はあるかもしれないけど、これが最後ってのは(ストーリー的には)ないかもしれない。だって、あるとしても最後思い浮かばないよね。現実の時間と同じように進んじゃってるから、終わらせようと思ったら凄い悲惨な終わり方しか思いつかない(笑)あまりそれやりたくないしな~。だから、そういう終わらせ方はしなくていいとおもってます。一つ一つの話は終わっていた方がいいと思いますけどね。

Moderator

永夜抄と儚月抄についてはどうお考えだったのでしょうか(※儚月抄は永夜抄の続きの形をとっている)

ZUN

永夜抄自体が他に使いにくいんだよね。永夜抄に出てきたキャラクターって言うのが、幻想郷の中にいる人間にとっては謎が多いので、話が凄い作りにくいんですよ。儚月抄で(永夜抄の)キャラの謎がわかってくると、使いやすくなるかもしれないしね。

Moderator

ゲームの視点と、儚月抄における3つの視点と言うものが必要だった?

ZUN

いや、別に3つは必要じゃなかったですよ。アレは出版社側の意向(笑)。3つ視点が必要だったわけでもないですし、永夜抄の中の話をしなければいけないということもなかったです。でも一番公開されてないのがそこ(永夜抄)だったから、そこがいいのかなぁって。

Moderator

4コマ(※東方儚月抄 ~月のイナバと地上の因幡)を入れたのは・・・

ZUN

そこもやっぱり、出版社側の意向(笑)。基本的に僕は漫画家でもないですし、小説家でもないですから、自分から本に載せてくれって言ったわけじゃないんですよ。向こうからオファーがきて、面白そうな話を思いつきそうだったらやるし、そうじゃなかったら断るかな。僕はそんなに手を広げたいと思ってないから、基本的に自分からは言わないです。面白そうだなと思ったからやるだけですよ。

【質問10:二次創作作品について】

Moderator

東方は二次創作も盛んですよね。ガイドラインでは色々細かい事まで決めていらっしゃいますが、当初から二次創作が増えることを想定していた?

ZUN

アレは決めざるを得なかったんですよ。最初の頃は二次創作がでるってこと自体凄く珍しかった時に質問が沢山きて、そのときに今のガイドラインを纏めたんですよ。それが今でも残っているだけで、二次創作を増やしたいとかで決めたわけじゃないんですよ。

最近はニコニコ動画の影響で、(MADのように)色々くっつけたものもありますよね。面白そうなものを結びつけるって創作の原点なんで、それが創作のオリジナリティーになるんです。勿論今までみたこともない完全なオリジナリティーもありますけど、それは例外的なものとして置いといて、殆どの創作って過去にあったものや現実にあったものをいろいろ結び付けて作っている。創作ってそういうもので、それができる人間がクリエイターなんだなって。そういう意味ではアレって創作の原点みたいな所があって、凄くいいと思いますよ。

Moderator

最近はオリジナル作品が作れるツールも増えて来たように思います。初音ミクとか。

ZUN

アレはいいね。アレのおかげで東方も随分広まったような気がします

Moderator

ただ、二次創作には極端な独自アレンジを施したものもあり、特に古参プレイヤーで不満を漏らす方も結構いらっしゃいますね。

ZUN

今年に入って凄く東方やる人が増えてきて、今は作る僕の方がおっつかなくなるぐらい人が多いね。こうなってくると、昔からいた人とそう出ない人で(東方の知識に)差が出るじゃないですか?それは凄く馬鹿馬鹿しい事で、言いたくなる気持ちはわかるんですが、物を楽しむにあたっては、昔からやっていたかどうかってあんまり関係ないんですよ。僕は新しく人が来るのは大歓迎だし、そういう人にどんどん新しいものを生み出して欲しいって思ってます。そうするとね、もうちょっと東方が長く続くかなって。

Moderator

(東方Projectは)今10作目ですが、これから先も15作、20作目と作っていきたい

ZUN

20作目・・・その頃にはアル中で倒れてるだろうな(笑)

<会場大爆笑>

ZUN

将来的には居酒屋の店主になるつもりなんで(笑)。僕が言うのもアレなんですが、ゲーム業界自体の年齢層がちょっと上がっちゃっていてね。上の人がいつまでたっても抜けれないんですよ。昔第一線で開発していた人が今でも第一線にいる。ネームバリューもあるだろうし、実際できる人なんだけど、もっと若い人に任せてしまえばいいもの作るんだろうなぁって。

ゲーム開発している人って大体30から40台で、ちょっと若さが足りないなって。僕も本当は早く引退すべきなんだろうけど、中々飲んで暮らすだけの生活にはいけないと(笑)逆に言うと僕は新しい人が出てくることを望んでいるので、ゲーム作りたいと思っている人には凄く頑張って欲しいと思っています。

【質問11:同じような作品を作りつづける上で見えてきたもの】

Moderator

公式ブログ(『博麗幻想書譜』2007.10.16付)で私どもの企画を紹介してくださった時に仰っていた、同じような作品を作りつづけることで見えたものとはなんなのでしょうか?

ZUN

物凄く疲れるってことですね

<会場爆笑>

ZUN

他の物に浮気したくなる衝動を抑えるのが大変だって事が良く分かりました(笑)ただ、同じようなものを作っていても、遊ぶ人が変わっていくのが面白い。同じようなものを同じ人にむけて作っていると、作っていけなくなるじゃないですか?今アーケード向けに作っているゲーム、例えば音ゲーとかは理解の範疇を超えちゃっている(笑)

そういうんじゃなくて、同じようなものを初めてやった人にも判るように作っていくと、ユーザーが新しく変わっていく。昔からやっている人がやらなくなっても、新しく人が入ってくる。そういうのができるのは先があるなって思うんですよ。昔から遊んでいる人だけを対象に作っていたら、多分東方はとんでもないことになっていると思うんですよ。弾の数が(笑)

<会場またも爆笑>

それでも多分「簡単」って言われちゃうんだろうな。今は逆に遊ぶ層が広すぎて、物凄く簡単だって言う人もいるし、物凄く難しいと言う人もいる。イージーでもクリアできないって人もいるし、逆に初プレイでもノーマルとかはノーコンティニューでクリアしちゃうって人もいる。どこに調整するってのがね。

まあ、その両方がいる状態が一番いいんだろうな。難しいって言う人がいなくなったらやさしすぎるんだろうし、みんなが難しいって言っていたら難しいんだろうな。

Moderator

初心者から上級者まで全員に合わせるのは難しい?

ZUN

難しいって言うか無理だね。ゲームの一番面白い所って難易度なんですよ。でもその難易度が決まるのってマスターの一週間前とかなんですよ。そこでほぼゲームの面白さが決まってしまう。システムがつまらなくても、丁度良い難易度であればそこそこ遊べてしまう。だから、このゲーム面白いよっていうのは、実はゲームの本質の評価とは殆ど関係ないのかもしれない。

<ここで質疑応答に移行>

【質疑応答:フォームの質問】

Moderator

まず、フォームで受け取った質問をいくつかご紹介したいと思います。チュートリアル等、機能を追加しすぎると逆にゲームが面白くなくなるという指摘がある。改善し過ぎる事に対して、東方は如何にして対応しているのですか?

ZUN

RPGとかでね、町の人が歩き方とかを教えてくれることに僕は凄く違和感があったの。「おまえどういう人間なんだよ」って。でも最近めんどくさくなって説明書読まないで始めるようになってね。そうなるとああいうのがきっとありがたい。ただね、一度あれをやってしまうと、そういうのがないゲームが凄く不親切に感じてイライラしちゃうんですね。一度入れると無くすのが難しい。

ただ、それがゲームの面白さに直結するのかっていうと別問題でね。例えば当たり判定が見えるとか、それを前提にして難易度調整するけど、もし無くなったら難しくなるけどいらつきのほうが大きくなってしまう。それは良くないわけですよ。

大体僕が難易度を作るときは、凄く難しくてやっとこさクリアーできるレベルで作って、それを簡単に作り直します。それがハードになります。そういう感じです。

Moderator

ZUNさんがお酒から手を離している写真を見たことがないのですが、お酒から手を離しているときはあるのでしょうか?

ZUN

今離してますよ?(笑)

(注:後半はスタッフが差し入れたビールが手元にあった。)

ZUN

お酒持っていると安心するよね?ないと不安になるんですよ。ほら、携帯を持っていないと不安になる人っているじゃないですか?アレと同じですよ。

やっぱね、日記書くときにネタになりますから。お酒のブログなんで、お酒持っておくことが必要なんです(笑)。本当は撮った写真もっとあるんだけど、面倒くさくなって書いてないんですよ。ブログ持っている人一杯いると思うけど、最初はいいけど段々めんどくさくなるよね?なんかイイ方法無いかな?自分の日記を人に見せる必要ってあんまりないんですけど、それでもなんか情報を発信していかないといけないかなって。

【質疑応答:会場での質問】

Questioner

今まで作ったキャラの中で、一番造形が難しかったキャラと簡単だったキャラを教えてください。

ZUN

そうですね・・・慧音とか大変でしたよ。スカートがね、変なスカートだったから。基本的にラスボスは大変です。ごてごてしていた方がいいかなって思うんで。意外とEXとかは楽ですよ。

一番楽だったのは・・・チルノとかかな(笑)

<会場爆笑>

Questioner

東方Projectには日本の伝記などが設定として使われていますが、ZUNさんはどのくらい本をお読みになるのですか?

ZUN

本読みますよ?どのくらいって難しいですけど、本は買っちゃいますね。片付けられない捨てられないで散らかる一方でね。諏訪大社の本も結構な数集めましたよ。でも神社の資料じゃなくて湖の写真集だとか、色々と無駄に買ってます。資料なんですけど趣味でもあるんで。神社辞典とかも買いました。全然使いませんでしたが(笑)

Questioner

東方の世界観はいつぐらいから考え始めたのですか?

ZUN

いつぐらいねぇ・・・。多分今みたいにちゃんとした世界観を作ったのは紅魔郷からですけど、緩い感じで考えていたのはもっと前・・・大学、いや高校ぐらいのときかな。その内容で大学にいる時にゲーム作ったけど、その時はもっと緩い世界観を考えてました。あの当時は巫女さんってジャンルがなかったんですよ。巫女さんのゲームとか本とか殆どなくて、巫女さんのゲームを作りたいなって(笑)。巫女さんから付随するものを作っていったから、そんなにでてこなくても巫女さんが出てなくても東方は巫女シュー(笑)。気付いたら凄い巫女さんのゲームとか増えていてびっくりしたけどね。巫女さんとメイドは幻想の物だと思っていたけど、今は別に幻想の物じゃないですね。秋葉原行ったら道端にいっぱい歩いているしね(笑)

Questioner

ネーミングに関して気をつけていることはありますか?

ZUN

ネーミングはね、大変だよ(笑)ネーミングってスペルカードとかのネーミングだよね?ネーミングはね、ストーリーとはあまり関係ないんです。キャラクターの設定と近いものを適当につけていて、だからかっこいいものもあれば、ネタもあったり。あれはあまり深い意味はないです。僕が知っているものの中から適当に名前をつけることが多いんで、気をつけていることってのは別にないですね。

Questioner

文化庁メディア芸術祭のエンターテイメント部門に推薦されましたが、その事についてどう感じていらっしゃいますか?

ZUN

あれ、びっくりしましたよ。なんていうかね、メディア芸術祭って昔から訳わかんねえ奴が賞とるなって思っていました(笑)。あそこで出ている奴って見ても理解できない奴が多くてね。ゲーム部門はまだ理解できるんですけど・・・前マリオが取ったよね。うーん、選ばれたら嬉しいけど、東方が公式に国に認められる分野になるとちょっと動きにくいってのがあるんで、嬉しい半分ちょっと複雑な気持ちもしています。裏の世界にいた方がいいなって。

でも選ばれたら行くよ(笑)ワクワクしながら行きます。

Questioner

東方を終わらせるつもりはないと言う事でしたが、今後東方のキャラクターが大人になるということはあるのでしょうか?

ZUN

今年で東方出て12年目になるのかな?凄いな、霊夢何歳なんでしょうね(笑)アレは初めから明確な年齢は言ってないんです。年齢を言うと成長させないといけなくなるから。

Questioner

永夜抄とかで成長しないのがポイントのキャラクターもいましたが、じゃあ霊夢とかは成長するのかなって気になったんですが。

ZUN

一応設定上は成長します。成長しないのは大人の都合的な(笑)。成長してもなぁ・・・成長したら「もう弾幕なんていってらんねえよ」みたいな事言いそうな性格なんで(笑)。もう子供じゃないしな~みたいなことになっちゃうのはちょっと避けたいかなと。

Questioner

何百メートルもの行列ができる中で売るのはどんな気持ち?

ZUN

あれはね、考えてらんない(笑)忙しすぎて。例えばですね、最初一人10枚とかにしたときはペースが遅いわけですよ。そのときは頭フル活動しています。一人3枚とか5枚とか言うふうに渡していくから。で、段々列が長くなると一人1枚にするんですが、1枚にすると10枚の時よりも圧倒的に速く列が流れるんですよ。そのときになると何も考えられないよ、みんな1000円札持って並んでいるんで、それと引き換えにドンドン渡していく。たまに空気読んでない、1000円札用意してない人がいるんですけど(笑)、財布開けようとしている間に後ろの人に渡そうって思うようになる。考えている余裕なんてないね、あるとしたら「早くおわんないかなぁって」(笑)。

Moderator

売る方も必死?

ZUN

必死ですよ。早く売らないと体力的にもきついし、並んでいる人もそんなに長く並んでいたくないと思うんですよ。結構サークルによっては手際が悪いのか商品が多いのか分からないけど、全然進まないサークルとかあるじゃないですか?あれって並んでいる人もかわいそうだなって。うちはなるべく早く終わるように、回転率はよくしてます。

Questioner

風神録で10作目になりますが、まだ頭の中には出したいキャラや弾幕が残っていますか?

ZUN

最初から貯めといたと言うよりは、新しいのを作るとそれに付随するキャラクターを出したいって言うのがでてくる。ただ、弾幕に関してはあんまり凝った事やっちゃうと遊ぶ方が訳わかんなくなっちゃうから、弾幕に関しての方がアイディアは少ないかな。お約束をネタに作ったりとかは出来ると思うけどね。

Questioner

魅魔(※)様はどこに行ったんですか?

※魅魔・・・東方Project旧作(夢時空・怪綺談)登場キャラクター。

ZUN

昔の出してもねぇ?設定がややこしくなっちゃうし、今までどこにいたんだって話だから。どうせなら昔のキャラより新しいキャラを出したい。まあ、昔のキャラもぽっと出しちゃったりもします。なんで、全く出ないとはいえない・・・感じですかね?

Questioner

玄爺(※)もですか?

※玄爺・・・東方Project旧作登場キャラクター。旧作では空を飛ぶ程度の能力を持たない霊夢を乗せて空を飛ぶ。

ZUN

霊夢空飛べるようになっちゃったからね。アレもどっちかっていうと亀仙人的なネタで、・・・なんで亀にしたんだろう?どっちかっていうと金斗雲の方がよかったなって思うんですけど(笑)ただ、亀は長生きなんで、死んではいない・・・ぐらいの認識でいいかと。

Questioner

横スクロールSTGを作ってみようと思ったことは?

ZUN

横スクロールでも面白いものは作れそうですけど、弾幕に向かないかなって。縦はシンメトリ、つまり「左右対称」でいけますけど、横だと上下の概念が出ちゃうんで、対称にすると気持ち悪いんですね。弾幕である以上なかなか横を作りにくいっていうのが一番大きな理由かな。興味はありますよ?

Questioner

東方の中では音楽に一番興味を持っています。東方の音楽といえばニコニコ動画等で様々な電波アレンジが作られていますが、そもそもZUN氏はどのようなことをイメージして作曲されているのでしょうか?

ZUN

初めにキャラのイメージとステージのイメージで音楽を作るんです。でも、作ろうと思って作れるものでもない。僕はそんなに器用じゃないので(笑)、晴れっぽい曲、川っぽい曲といっても自由に作れない。だからお酒飲んで勢いでつくる(笑)で、それが(本来のキャラやステージと)合わなかったら、別のところで使う。ちょっと惜しいぐらいの誤差なら、ステージをそれに合わせて作り変える。まあ、重要なのはやっぱり勢いだね(笑)

Questioner

続編を作るのは前作より深いものを作るため、と仰られていましたが、その前提で続編を作る場合、「前作より面白い部分」を何かしら作りこんでいかなければいけないと思うんですが。そういう作りこみの「ネタ」に困った時はどうなさってますか?

ZUN

いくらでも困ります(笑)。基本的に続編を作る時は、一個前の作品で「しまったな、こういう風にすればよかったな」と不満に思った点を解消していくんです。ゲーム作っていると、必ず「しまったな、この部分は失敗だけど後には引けないなあ」って思う部分が出てくる。僕はそれをそのまま続編のネタに使っていきます。そういうのが全く無くなった場合、それは前作で完成してるってことなんで結構困るんですけどね。ただ今のところは前の作品の不満を自分なりに解消することをメインにしてます。

もし前作に不満が無くてネタに困ったら、次はボリュームでしょうね。世間のシリーズ物ってだいたいそうなってるんじゃないかな?1個前の作品で完成していたら、次は一気にボリュームを増やす。まあ、一人でやってるから東方でその手法はやりにくいんですけどね。

Questioner

弾幕で「アポロ13」の中避けとか、特定のスペカを特殊な避け方をする人が結構いますけど

ZUN

あれは凄いよね(笑)

Questioner

ああいうのは意図的に作ってあるのですか?

ZUN

いやいや。意図的に作ってあるものも、そうでないものも両方あります。だいたい意図的に作ってあるやつは、納得のいく避け方が出来ます。安地ができるとかね。意図的でないやつは・・本当に、ねぇ。「スターボウブレイク(※1)」の安地、何で出来るんだろう(笑)。「生と死の境界(※2)」の安地も含めて、いまだに何で出来るかわからないんだよね。基本的にランダムで動いてるはずなんだけど。多分数学のカオス理論をやれば答えが出てくるんだろうけど、そこまで頑張る気はないので。「上に行けば楽になる」とか、「回ったら楽」とかは、意図的に作られたやつなんですけど、「ピンポイントにここに入ったら避けられる」とかは、偶然そうなったものです。

Questioner

では、「正直者の死」大回転(※)は?

※「正直者の死」大回転・・・永夜抄EXボスのスペルカード「正直者の死」の曲芸プレイ。このプレイでの取得にあたって1000回以上のリトライが行われたとか。

ZUN

それはやる方が○○○○なんだよ(笑)もっと簡単に避けられるのに、何で難しくするんだろう(笑)

Questioner

東方は同じ世界観を大切にしているとのことですが、同じ世界観ということで以前出てきたあのキャラを使いたい、このキャラを使いたいという弊害に対する折り合いについてお聞きしたいのですが?

ZUN

弊害ってことはないよ(笑)。

折合いとしては、僕がユーザーの意見を聴かないことだね。そして僕が意見を無視しても大丈夫、という状態であることがポイントじゃないかな?

僕がユーザーの言うとおりキャラを作ってたら、人気のあるキャラばかり集めたりすることになるんだろうけど。それはそれでどうなんだろう、と思うし。

もし商業であれば確実にすることになるでしょうね。人気のあるキャラクターで一番いいところを取って来る。僕はそれをしたくないし、しなくても許される状態だから。「あのキャラを使いたい」っていう要望は多いし、別に悪いことだとは思わないけど、それを叶えようとするとオールスターを作らないといけなくなっちゃう。そういうわけにはいかないからね。

Questioner

僕は風神録でメイド長(※)を使いたかったです

※メイド長・・・紅魔郷以降の東方Projectに登場するキャラクター「十六夜 咲夜」 のこと。

ZUN

うーん、そうしたらストーリーどうなるんだろう(笑)

Questioner

幻想郷の時代設定は現代ということですが、現代に設定した背景はなんですか?

ZUN

その方が設定が楽だからね。自分は現代に生きてるわけだし。過去だと、どうしても歴史上のことを知っておかなければいけない。現代なら、今起こったことをそのままネタとして使える。今ロケットが出たら漫画でロケットを出す(※)、それは現実の時間とリンクしてるから出来る。

それに、過去だと遊んでる方もとっつきが悪い面があると思う。未来は未来でこれもまたとっつきが悪い。シューティングっていうと、未来にする傾向があると思うんです。近代兵器を使うから。霊夢とかはあまり近代的じゃないし、魔法と言い張れば何とでもなります(笑)

Questioner

風神録でスペルプラクティスが無くなったり、ボムがスペカではない霊撃になったことについて、その意図を教えてください。特にスペルプラクティスについては永夜抄のテキストで諸刃の剣、と述べられていましたが。

ZUN

永夜抄でスペルプラクティスを実装したのは、永夜抄以降で出す機会の無いスペカを出し切っておく必要があったからです。ただそれをやるにはスペルプラクティスが無いとどうしても不便だったので実装しました。

今回は制作にあたって重要そうな機能も含めて一度すべて切り捨て、本当に必要かどうか見極めて作り直した経緯があります。不要なものは全て一掃しようと決めていたので。「一度実装してしまうと次回作以降でその機能を外すわけにはいかなくなる」、それが永夜抄で言った「諸刃の剣」の意味です。だから風神録で一掃しなきゃいけないと思った。

基本的に今までつくったものを一掃してもう一度最初から作り直す機会ってなかなか無い。商業作品なら特にそう。ただそこは同人なので実行に移しました。あと実装するのが面倒臭いしね(笑)ゲームの調整の際には楽なんだけど。

Questioner

今年の例大祭は風神録の体験版だったわけですが、来年の例大祭に向けて既に動きはあるのでしょうか?

ZUN

そりゃもう(笑)夏に向けて新作出すからその体験版を出すっていう、いつものパターンです(笑)。

Questioner

来年(※2008年度)の例大祭は東京国際展示場に場所を移すとのことですが・・

ZUN

大丈夫かなあ、という心配はあるけどね。西3・4ホールだったっけ?まあでもしょうがない、サンシャイン(※)の時はえらい目に遭いました。キャパシティがギリギリ・・というよりオーバーしてたから。ビッグサイトは・・個人的には車で行きやすいかなってのはあるけど、どうせ帰り飲むから(笑)。でも電車だと結構遠いんだよね。まあ、それぐらいにしか心配はしてなくて、会場が変わることに不安はないです。だって最初Pio(※)でやって、次都産貿(※)でやって、次サンシャイン(※)か。・・まあ、順当なんじゃない?

※Pio、都産貿、サンシャイン・・・それぞれ「大田区産業プラザPio」、「東京都産業貿易センター」、「池袋サンシャインシティ」を指す。何れも即売会会場としてはおなじみの場所。

Questioner

文花帖や求聞史紀でキャラクターサイドについてはだいぶ補完されましたが、キャラクター自体のデザインをZUNさんがどのようにおつくりになられているか、差し支えなければ何人かのキャラを元に教えていただきたいのですが

ZUN

キャラ毎にまちまちです。例えばストーリーからキャラクターを作る場合があります。強いキャラはこのタイプです。弱いキャラはストーリーに当てはめるように作ったりもします。後は意外性を入れてみたりとか、やっぱりオーソドックスにしてみたりとか。「こうやってキャラ作りました」っていうエピソードが全体論としてあるわけではないですね。

Questioner

ZUNさんの音楽のファンなんですが、楽譜の掲載の予定はないですか?

ZUN

ないねー。そのまま楽譜を掲載してもあんなの弾けないしね(笑)。弾けるようにアレンジする必要がある。その手間を考えると楽譜を出すのは微妙かなあ。

僕が一個一個作品として完結させてない曲の楽譜は出しにくくてね。何かのオマケとしてなら付けられるかもしれない。昔の彩京(※)の1500円CDみたいに、アーケードの音楽CDで楽譜が付いてるのがあって、そのやり方なら付けれるかも。やるかわからないけど。

※彩京・・・アーケードSTG製作メーカー。現在はクロスノーツに吸収され、同社のゲームブランドの1つとなっている。代表作「ストライカーズ1945」等。

Questioner

キャラリセットはかかるのでしょうか?

ZUN

特にリセットとかはしないですね。基本的にシリーズで出してる時って、前のキャラクターって関係ないんです。だけど一応居ることは居るよ

Questioner

腋巫女(※)が別の巫女になるとか

※腋巫女・・・博麗霊夢のこと。霊夢の脇を空けた袖が特徴的な独特の巫女装束から。

ZUN

したくなったらそうするかもしれないけど(笑)、とりあえず予定はないです。

Questioner

PCが一人一台になったり、DVDとかゲーム機が多機能化したりして、今までゲームをしたことの無い人もゲーム機に触る機会が増えたと思うんですけども、そういう人たちにやってほしい作品、というのがあれば教えてください

ZUN

それは難しいね。僕が好きな作品ってマニアックな作品が多いから、他人に薦めようって気にはならないです。マニアのだめな所って自分の好きなものを他人に押し付けてしまう点だと思うから。

僕は新しく来たプレイヤーにシューティングをやれという気はないし、RPGも昔のファミコンまで遡ってやれという気も全然無い。今新しく出た京都の会社のゲーム機で遊ぶのが一番いいんじゃないかな?とりあえず売れてるゲームをやってみる。マリオギャラクシーとかゼルダとか。いろいろやって、それでもまだゲームをやりたい、って気分であれば「マニアの世界へようこそ」って感じでその先を薦める(笑)。だから初めはそれこそWiiSportsとかでいいと思う。興味をもったとしても、それ以上にゲームっぽいもの、オタクなものをやるかは本当にその人次第。だから、ゲームをやらない人を最初からそこに持っていく必要は無いんじゃないかな。シューティング人口増やす気もあんまりないしね。

【最後に】

Moderator

さて、質疑応答はこれにて締め切りたいと思います。本講演の締めくくりとして、最後にゲーム創作についてお聞かせいただけますか

ZUN

ゲーム制作・・つくってる側の人向けへの話になるんだけど、大切なのはあまり手順を考えすぎないこと。これをしなければできないとか、これだけ勉強しなきゃいけないとかを考えないで、必要になったら勉強して、必要になったら資料集めて、必要になったら寝ないで努力してみる。そういうことを続ければ、自然と作れるようになります。「○○のつくり方」みたいなハウツー本は参考程度に。本にある通りにやってないから作れないとか、そんなこともないので。だから好きなものを頑張ってつくること。

後、普通に東方を遊んでいるユーザーさん。買っていただいてありがとうございます。後、二次創作やってる方に関しては、本当に自由にやっていいので。

そうそう、最近二次創作の商業化の話がよくありますよね。CD化とかカラオケとか。それについて、僕から断るようなことは絶対にありません。二次創作者がそれで良ければ、「二次創作者がつくっているもの」の商業化を止める事は僕には出来ないし、することもない。その代わり元となる東方の某については商業化する二次創作と一切関係が無い、ってルールにしています。そうしないと、僕がややこしいことになっちゃうからね。僕は一切かかわっていない、そういうことになってます。

なのでもしここで二次創作をやってる人が居て、CD化とかカラオケとかで商業化したいというのであれば、一度僕の方に話に来てもらえばいつでも出来ますので。

その代わりあれだよ?僕が言うのもなんだけど、自分の作品をそういう商業の場に出しちゃうと、自分の好きなように扱えなくなる。僕はそのへん心配してます。たとえばカラオケに入れちゃうような曲があったとして、それが自分で自由に配信できなくなったりする。そこらへんのルールは明確に決めておかないと、後から問題になるのでじゅうぶんに気をつけてください。

<この後、司会によって閉会が宣言され、講演は終了しました>

主催:一橋幻想研究会
代表:井上

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